弁護士法人四谷麹町法律事務所のブログ

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「①事業組織への組み入れ」の有無を判断する際には,どのような事情を考慮する必要がありますか。

2014-08-13 | 日記

「①事業組織への組み入れ」の有無を判断する際には,どのような事情を考慮する必要がありますか。

 以下のような事情がある場合に,事業組織への組み入れが肯定的に解されるものと考えるのが一般的です。ただし,これらの事情がない場合でも直ちに事業組織への組み入れが否定されるものではありません(『労使関係法研究会報告書』)。

○契約の目的
 ・ 契約の形式にかかわらず,相手方と労務供給者の契約が,労働力を確保する目的で締結されている。
○組織への組み入れの状況
 ・ 業務の遂行の量的ないし質的な面において不可欠ないし枢要な役割を果たす労働力として組織内に位置付けられている(ただし,当該労務供給者が集団として存在していなくても,事業組織への組み入れが否定されるわけではない。)。
 ・ 評価制度や研修制度を設ける,業務地域や業務日を割り振るなど,相手方が労務供給者を管理している。
 ・ 人手が不足したときは他の事業者にも委託するが,通常は労務供給者のみに委託している。
○第三者に対する表示
 ・ 相手方の名称が記載された制服の着用,名刺,身分証の携行等が求められているなど,第三者に対して相手方が労務供給者を自己の組織の一部として扱っている。
○専属性
 ・ 相手方から受託している業務に類する業務を,契約上他の相手方から受託することができない。
 ・ 相手方から受託している業務に類する業務を他の相手方から受託することについて,契約上設定された権利義務としては制約がないが,当事者の認識や契約の実際の運用上は制約があり困難である。
 ・ 相手方から受託している業務に類する業務について,他の相手方との契約関係が全く又はほとんど存在しない。


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労組法上の「労働者」に該当するかどうかは,どのような基準で判断すればよろしいでしょうか。

2014-08-13 | 日記

労組法上の「労働者」に該当するかどうかは,どのような基準で判断すればよろしいでしょうか。

 労組法上の「労働者」に該当するかどうかは,以下の判断要素を用いて総合的に判断すべきものです。基本的判断要素の一部が充たされない場合でも直ちに労働者性が否定されないこと,各要素を単独に見た場合にそれ自体で直ちに労働者性を肯定されるとまではいえなくとも他の要素と合わせて総合判断することにより労働者性を肯定される場合もあることに留意する必要があります。各判断要素の具体的検討にあたっては,契約の形式のみにとらわれるのではなく,当事者の認識や契約の実際の運用を重視して判断する必要があります(『労使関係法研究会報告書』)。

(1)基本的判断要素
 ① 事業組織への組み入れ
  労務供給者が相手方の業務の遂行に不可欠ないし枢要な労働力として組織内に確保されているか。
 ② 契約内容の一方的・定型的決定
  契約の締結の態様から、労働条件や提供する労務の内容を相手方が一方的・定型的に決定しているか。
 ③ 報酬の労務対価性
  労務供給者の報酬が労務供給に対する対価又はそれに類するものとしての性格を有するか。

(2)補充的判断要素
 ④ 業務の依頼に応ずべき関係
  労務供給者が相手方からの個々の業務の依頼に対して、基本的に応ずべき関係にあるか。
 ⑤ 広い意味での指揮監督下の労務提供、一定の時間的場所的拘束
  労務供給者が、相手方の指揮監督の下に労務の供給を行っていると広い意味で解することができるか、労務の提供にあたり日時や場所について一定の拘束を受けているか。

(3)消極的判断要素
 ⑥ 顕著な事業者性
  労務供給者が、恒常的に自己の才覚で利得する機会を有し自らリスクを引き受けて事業を行う者と見られるか。


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近時の中労委は,労働者派遣における派遣先事業主の使用者性をどのように捉えていますか。

2014-08-13 | 日記

近時の中労委は,労働者派遣における派遣先事業主の使用者性をどのように捉えていますか。

 近時の中労委は,労働者派遣法に基づく派遣先事業主の使用者性に関し,労働者派遣法は,明文の規定は設けていないものの,同法上の枠組みに従って行われる労働者派遣の派遣先事業主については,当該派遣労働者(その属する労働組合)との関係において労組法7条の使用者に該当しないことを原則として立法されたと解するのが相当であるとしています。
 もっとも,原則に対する例外として,例えば,
 ① 労働者派遣が,労働者派遣法の枠組み又は労働者派遣契約で定められた基本的事項を逸脱して行われている場合
 ② 労働者派遣法上,派遣労働者の労働条件や雇用について,一定の責任を負わされたり,義務を課されたりしている場合
については,労働条件や雇用に関する団体交渉 等を保障する労組法の趣旨にかんがみ,労組法第7条の使用者性を判断するための一般的な法理のうち,雇用主以外の場合に関する法理(②③)に従い,当該派遣先事業主に労組法7条の使用者性を認める余地があると解するのが相当であるとしています。


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不当労働行為について定めた労組法7条の「使用者」の範囲を教えて下さい。

2014-08-13 | 日記

不当労働行為について定めた労組法7条の「使用者」の範囲を教えて下さい。

 朝日放送事件最高裁平成7年2月28日第三小法廷判決は,一般に使用者とは「労働契約上の雇用主」をいうとしつつ,労組法7条が団結権の侵害に当たる一定の行為を不当労働行為として排除,是正して正常な労使関係を回復することを目的としていることにかんがみ,「雇用主以外の事業主であっても,雇用主から労働者の派遣を受けて自己の業務に従事させ,その労働者の基本的な労働条件等について,雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配,決定することができる地位にある場合には,その限りにおいて,右事業主は同条の『使用者』に当たるものと解するのが相当である。」と判示しています。
 したがって,一般的には労働契約の一方当事者である使用者が労組法7条の「使用者」に該当することになりますが,雇用主以外の事業主であっても,雇用主から労働者の派遣を受けて自己の業務に従事させ,その労働者の基本的な労働条件等について,雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配,決定することができる地位にある場合には,当該労働条件等との関係に限っては,労組法7条の「使用者」に該当することになります。


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不当労働行為(労組法7条)の種類には,どのようなものがありますか。

2014-08-13 | 日記

不当労働行為(労組法7条)の種類には,どのようなものがありますか。

 不当労働行為(労組法7条)の種類には,以下のようなものがあります。
 ① 組合員であることを理由とする解雇 その他の不利益取扱い(1号)
 ② 正当な理由のない団体交渉 の拒否(2号)
 ③ 労働組合の運営等に対する支配介入及び経費援助(3号)
 ④ 労働委員会への申立て等を理由とする不利益取扱い(4号)


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合同労組(ユニオン)との団体交渉に臨む際の注意点を教えて下さい。

2014-08-13 | 日記

合同労組(ユニオン)との団体交渉に臨む際の注意点を教えて下さい。

 合同労組(ユニオン)と争えばいいというものではありませんが,譲歩すれば解決するというものでもありません。当該合同労組の性格,客観的事実関係等を正確に把握し,事案に応じた対応が必要となります。
 弁護士等の専門家がついていないと,不当労働行為ではない言動まで不当労働行為と言われて萎縮し,交渉が不利になることがあります。


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団体交渉の近年の傾向について教えて下さい。

2014-08-13 | 日記

団体交渉の近年の傾向について教えて下さい。

 団体交渉 の近年の傾向としては,社外の合同労組(ユニオン)との団体交渉が増えていることが挙げられると思います。


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団体交渉

2014-08-13 | 日記

 近年では,トラブルを起こした社員が,労働者であれば誰でも加入できる社外の合同労組(ユニオン)に加入し,企業に対し団体交渉 を申し入れて,解雇 の効力を争って職場復帰を要求したり,残業代 請求したりすることが多くなっています。
 団体交渉 の基本ルールについては労働組合法で定められており,団体交渉に関する複数の判例が出ているところですが,団体交渉のルールを理解していないと,合同労組の言いなりになって事態を悪化させたり,逆に,不必要に敵対的になって紛争をこじらせてしまったりしかねません。
 弁護士法人四谷麹町法律事務所(東京) は,団体交渉の対応を数多く行ってきました。会社経営者を悩ます団体交渉の対応は,弁護士法人四谷麹町法律事務所(東京)にご相談下さい。


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