パワハラ紛争の類型にはどのようなものがありますか?
パワハラ 紛争の類型には,以下のようなものがあります。
① 安全配慮義務違反や不法行為(使用者)責任を理由とした損害賠償請求
② 解雇 ,休職期間満了退職無効を理由とした地位確認請求
③ 合意退職の錯誤無効・強迫取消等を理由とした地位確認請求
④ 労災認定の問題
パワハラ 紛争の類型には,以下のようなものがあります。
① 安全配慮義務違反や不法行為(使用者)責任を理由とした損害賠償請求
② 解雇 ,休職期間満了退職無効を理由とした地位確認請求
③ 合意退職の錯誤無効・強迫取消等を理由とした地位確認請求
④ 労災認定の問題
適法な言動だったとしても,適切な言動とは限らず,紛争が表面化するような事案における言動は,むしろ,改善の余地が大きいことが多いところです。
企業を運営していく上でより優れた指導方法等はないかを追求する必要があります。
適法だが不適切な言動がなされたことが判明した場合には,当該行為者に対しては,注意指導,研修等で対処するのが通常ですが,あまりにも管理職 としての適格性が欠如していたり,周囲の部下等との相性が悪かったりする場合には,降格や配置転換等を検討せざるを得ないこともあります。
違法ではないが不適切な言動の改善を経営者が試みた場合,従来どおりのやり方を続けたい現場社員が抵抗し,経営者(人事労務担当者)と対立することもありますが,不適切な言動の改善が現場社員の多くから支持を受けているのであれば,研修を実施したり,抵抗している社員に対して注意指導を行っていけば足ります。
違法なパワハラ がなされたことが判明した場合には,行為者に対し,注意指導,研修等の教育,懲戒処分,配置転換等を検討することになりますが,懲戒処分,配置転換等については,行為者が経営者(人事労務担当者)と対立することもあります。
行為者以外の従業員に対しても,研修等の教育を行うなどして,パワハラ問題を周知させることになりますが,違法と評価されるような言動をしてはいけないことについては,比較的理解を得られやすいところです。
違法なパワハラ受けた従業員からはよく話を聞いて対応を検討し,できる限り不満が残らないよう配慮すべきでしょう。
パワハラ が問題とされる言動には,①違法な言動,②適法だが不適切な言動,③適切な言動の3段階があります。
②適法だが不適切な言動は数多く見られますが,①違法な言動とまで評価される言動はごく一部に過ぎません。
「パワハラかどうか?」という問題設定がなされることが多いですが,程度の問題として考えた方が実態を正確にイメージすることができると思います。
例えば,百点満点で採点し,
① 違法な言動 0点~20点
② 適法だが不適切な言動 21点~80点
③ 適切な言動 81点~100点
といったイメージで捉えると理解しやすいはずです。
セクハラとパワハラ には様々な違いがありますが,特に以下の点が重要なのではないかと考えています。
① 性的言動は業務を遂行する上で不要なものであるのに対し,注意指導,業務命令等は業務を遂行する上で必要なものである。
② 注意指導,業務命令等は業務を遂行する上で必要なものであるため,業務を遂行する上で必要のない性的言動と比較して,違法とまでは評価されにくい。
③ セクハラは個人的な問題であることが多いのに対し,パワハラの場合は,会社の意向を受けて行った注意指導,業務命令等が違法となるかが問題となることも珍しくない。
パワハラ を不満に思い,公的機関などに相談している労働者の数は多いですが,パワハラを理由とした損害賠償請求がメインの訴訟,労働審判 はあまり多くなく,解雇 無効を理由とした地位確認請求,残業代 請求等に付随して,損害賠償請求がなされることが多いという印象です。
解雇無効を理由とした地位確認請求,残業代請求等に付随して,パワハラを理由とする損害賠償請求がなされた場合は,業務指導に必要のない不合理な言動をしているような場合でない限り請求棄却になりやすく,仮に不法行為責任等が認められたとしても慰謝料の金額は低額になりやすい傾向にあります。
パワーハラスメント は法律上の用語ではなく,統一的な定義はありません。
平成22年1月8日付け人事院の通知では,パワーハラスメントは,一般に「職権などのパワーを背景にして,本来の業務の範疇を超えて,継続的に人格と尊厳を侵害する言動を行い,それを受けた就業者の働く環境を悪化させ,あるいは雇用について不安を与えること」を指すとされています。
『職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告』(平成24年1月30日)は,「職場のパワーハラスメントとは,同じ職場で働く者に対して,職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に,業務の適正な範囲を超えて,精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう。」としています。
『平成24年度個別労働紛争解決制度施行状況』(平成25年5月31日)によると,民事上の個別労働紛争相談の内訳のうち,「いじめ・嫌がらせ」の占める割合は,平成14年度から一貫して高まっています。
民事上の個別労働紛争「相談」件数は,平成23年度までは「解雇 」に関するものが最も多かったのですが,平成24年度は,
いじめ・嫌がらせ 5万1670件(17.0%)
解雇 5万1515件(16.9%)
と,「いじめ・嫌がらせ」に関する相談が初めて最多となりました。
パワハラ に関する紛争は近年増加傾向にあり,会社を経営していく上で,パワハラ対策は避けては通れない問題です。
弁護士法人四谷麹町法律事務所(東京) は,パワハラに関する紛争を数多く取り扱ってきました。会社経営者を悩ますパワハラに関する紛争の対応,パワハラ問題のコンサルティングは,弁護士法人四谷麹町法律事務所(東京)にご相談下さい。
弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 進太郎