My ordinary days

ようこそいらっしゃいました!
ふと思い立ち第2のキャリアを始めてしまった、流されがちなひとの日々を綴るブログです

伊坂幸太郎「砂漠」

2010-07-03 08:51:39 | 読書
「なんてことは、まるでない。」

物事を俯瞰的にみる冷静クール、なはずの北山くん。が、

大学で同じクラスになった
ブルジョア鳥井くん
絶世の美女東堂さん
超能力者の南さん
世界平和を願う西嶋くん

の4人と フリーターの彼女鳩麦さんとの4年間を”ダイジェスト”で話してくれた砂漠=実社会に出る前のオアシス=学生時代 のお話。

麻雀の場面がたくさんでてくるのだけどルールを知らないのでその部分ほぼ斜め読みしていますがあらすじに影響はありません・・・いや、おそらく知っていればここでこの牌が出てくる意味などがあるのかもしれませんが
とりあえずは読み進められます。

冒頭のセリフは、各章で北山くんが様々な想像をするのですが そのあとについてくるもの。その想像は最後の章を除いて 心の琴線に響くようなことだったりポジティブなことだったり格好いいことだったりするのですが「まるでない。」と剣もほろろな対応。

ただ最後の章だけはべつです。そんなことになったら悲しいだろうな なことを敢えて延べ「まるでない、はずだ。」で結んでいる。

語り手は北山くん、だけどこの小説でばーんと前にでてくるのはキモオタ系?ご容姿の西嶋くん。無表情の美女東堂さんに惚れられるのですが高校生までずっといじめられ否定されてきた彼は「今になってプラスの電気ばかり持った人間が近づいてくるのは間違っているとしか思えない」という理由で彼女を振ってしまい
まそれは本筋にはあまり関係ないのですが、
目の前でかわいそうに見えたものは正義とは何だろうなんて考えてないで助けちゃえばいいんですよ。 と熱くいいきる西嶋くん。その気になれば 砂漠に雪だってふらすことができる。
砂漠に出る前のオアシスにいる彼らは、オアシスにいる間だからこそおばかな学生だからこそ、砂漠にでていくためのパワーを養わないといけない。

西嶋くん側につくか 彼を俯瞰してみる(実のところは上にいるわけではなくて離れ過ぎていてそこまで到達できないだけ)のかで 4年間の学生生活もだいぶカラーが違ってくるでしょう。


朝刊にでていたこの作品の紹介文:
「青春の光と闇。パンクロックのビートが響く、爽快感溢れる長編小説」

えー わたしはパンクロックはまったくわかりません
クラッシュとかラモーンズとか

西嶋くんはパンクロックの精神を引き継ぎ砂漠に雪を降らせようとしているようですが、

たぶん そんなにビートが響いてこなくても だいじょうぶ・・・
十分に面白く読めるはずだから。


表紙に英語タイトルがあり:「a campus life」.
学生生活でおこる様々な出来事、お楽しみください。