TVピープルに収録されていた「眠り」を新たに書きなおしドイツ版で使われたイラストを掲載して販売・・という贅沢??な一冊になりました。題名はオリジナルと区別をつけるためにひらがな表記に変更したそうです。
村上春樹は新刊が出たら必ず読む作家ですが、なかなか読後感をアウトプットできない。
自分の内側のどこかにひっそりと沈んでいくような
そしてそのままずっと静かにそこにあるのかそれとも姿を変えて外にでいえいるのかさえも判然としないのです。
長編2冊、「ノルウェーの森」(映画観たい。それは原作が好きだからというより松山ケンイチくんが観たいから~
)と「ダンスダンスダンス」(羊3部作のラストのお話・・ノルウェーより好きだな)を終えた後しばらく小説を書けなくなった時期があり、そのころに書いた長めの短編小説が「眠り」と「TVピープル」だったそうです。この二つがセットだったというのはわかるような気がするな。
元の版を読まずに読んでみた「ねむり」ですが
怖かったな・・
。
夫と小学生の男の子と3人で暮らしている主婦。平凡な日常を過ごしている「私」が突然眠れなくなる。覚醒してしまうのです。17日間眠らずにいるのに体調もいいし、綺麗になってきたとさえ思う。
「私」は自分が拡大したのだ と信じる。覚醒をしたといってもどこに行けるわけでもなく日常が非日常となり代わり、一人だけ覚醒した世界に生きる。そしてそのことを肯定する「私」。
「私」が覚醒していることに誰も気づかないし、「私」は心の奥に潜んでいた負の感情にも目覚めます。
夢の中での見知らぬ老人との邂逅が「私」の存在に関わっている多くのものを焼き払ったから。
けれど、何かが間違っている。
ラスト、車の中からでられず男たち(おそらく夫と子供)に揺さぶり続けられる「私」。
なにがよくてなにがわるいのか。
正しいこととは、そして間違っていることとは?
・・・・こわっ。切々と怖い話ですよ。目覚めることが悪いわけではないけれど 今まで眠っていたことがゆらりと起き上がりそして現実を内側からそっと壊していくのだから。
オリジナルと表現が変わっているところが多いので受ける印象も変わると思いますが、どうかな。私は久しぶりにこの物語を読めて楽しかったですが、絶対読んだ方がいいよ!!と大きな声で叫ぶ事はしないでス。
さて、ドイツのメンシックさんという方のイラストですが、私はあまり・・・蝉がいやーん
、なのとちょっと不気味なタッチ。話し自体が不気味といえばそうなのだけど、うーん。
単純に好みではなかった。
あとホンダシティって輸出されていないのでしたっけね・・どこか外国での規格に合わなくて輸出できなかった、ということを聞いたような気がします。
アメリカのロックバンドZZトップのメンバーが車好きで、コンサートで来日した際にシティを気にいり買って帰ろうとしたらできなかったという話も。
このイラストの車、どう見てもシティではないよね・・・(突っ込みドコロがヘン?)
ところで「私」が眠らないで読みだした本はトルストイ「アンナ・カレーニナ」でした。
・・・読もうっと。