ジャネット・リー ケアリー 著作
死ぬ瞬間、二人は明るい光の中にいた。
明るいその光はなんともあたたかく二人を包み込み
心地よく夢見るような快適さだった。
その光の向こう側に行ってしまったのが、二度と帰らぬ人となった妹。
そして残された両親の気持ちを思い、光の中から生還した兄。
突発的な事故に遭い、妹は死亡し、兄は生き残る。
その兄の亡き妹への思い、悲しみ、やるせなさ、
彼の、愛娘を亡くした両親へのいじらしいぐらいの愛情を
天国の妹ジェニーへの手紙として記述されているのが本書である。
生き残った者の悲しみ、妹の死を受け入れることの苦しみ、
意気消沈した両親への思い、いろいろな感情が彼の中で交錯する。
特に両親を元気づけようと頭を悩まし、
いろいろな対策を練ろうとする彼の姿は、いじらしく切ない。
最愛の人を亡くした時、人はどのようにそれを受け入れ、乗り越えていくのだろうか。
それはいつの時代でも人生の課題ではあるが、
本書は、このテーマを最も愛情を持って描いた作品である。
読み終えた後、心があたたかくなった。