安藤 和津 著作
本書はタレントの安藤和津さんの実母の介護について書かれたノンフィクション。
彼女はテレビのコメンテイターであり、エッセイストであり、
俳優奥田瑛二の妻であり、二人の娘の母でもある。
そんな超多忙な彼女が母に捧げる愛情が、この本にはあふれている。
母との確執、和津さん自身の生い立ち、母を求めた幼少時代の淋しさ、
いろいろな感情が交錯しながら、重度の進行を重ねた脳腫瘍の母への
彼女の思い、行いは心を打たれるものがある。
一見、華やかな世界で幸せそうな人生を歩んでいるように見える和津さん。
いつも明るく、おもしろく、はっきりした意見を述べる彼女は
きっと人生をしあわせに送ってきたのだろうと思っていた。
でも、この本を読んでそんな私の浅はかな思いは払拭された。
人はその人の表面上のことだけを見て
ああだ、こうだと判断し、時には勝手にうらやんだりする。
でも、その笑顔の影に数知れない苦労と悲しみがあることを知らない。
涙を流し、眠れぬ夜をすごした日々が何度あったか・・知るよしもない。
親との確執、衰弱していく母への思い、
老親を看ていくことの苦労と喜び、
決して人ごとではない。
いつか必ず通らなければならない道。