ゆうちゃんの独り言

モーツァルトが大好きで毎日欠かさず聴いています。人生の生き方は仏教で毎日般若心経を唱え、時間を見つけて寺巡です。 合掌

■ 第1656回NHK交響楽団定期演奏会を聴いて(Cプロ初日)♪♪

2009-10-26 00:43:48 | Weblog
 
 先日のAプロに引き続き、ハナ金の夜にN響のCプロの定期演奏会に出掛けました。指揮
者は前回と同じアンドレ・プレヴィンです。Aプロの演奏を聴いていて、プレヴィンの演奏
があと何回聴けるか分からないと正直感じたので、今回の演奏会に出掛けたのも一つの理由
でもあります。

 演奏曲目ですが、プレヴィン自身の作曲によるオウルズ(2008)日本初演、モーツァ
ルト/ピアノ協奏曲第23番イ長調K.488とショスタコーヴィチ/交響曲第5番ニ短調
作品47でした。先週の演奏会と異なり、今回はモーツァルトの作品が取り上げられている
だけでなく、ピアノ協奏曲で大好きな23番ですからたまりません。ピアニストは、池場文
美でした。

 最初の曲ですが、以前から何度も申しているように、現代音楽は難解だと思っているので、
例えプレヴィンの作品であっても、モーツァルトのような分かり易くかつ素直な作品ではな
いと構えて聴きました。

 あまりにも構えすぎたのかも知れませんが、それほどきつい現代音楽ではありませんでし
たが、それなりに理解するのに時間と心の消化能力を高める必要がありました。ただ、楽想
が穏やかかつ緩やかなこともあって、違和感は少なかった作品でした。森の中の2羽のフク
ロウの様子を描写した曲です。

 続いて演奏されたモーツァルトのピアノ協奏曲ですが、結論的にいうと少し不満があった
ピアノ演奏でした。池場文美というピアニストの演奏を初めて聴きました。才能がある演奏
家であることは認めますが、この23番の第二楽章の弾き方に異論がありました。

 第一楽章と第三楽章の音の大きさは問題ないと思いますが、第二楽章はもっと小さな音で
弾くべきだと思います。極端な言い方をすると、耳を澄まして聴かないと聴こえない位の音
量で弾く必要があると個人的に考えています。

 全ての楽章を同じような音量で弾いていたので、全体的に単調で感情移入が出来ないよう
な印象でした。批判をする立場にありませんが、教科書通りの弾き方で面白味が足りないも
のだと感じました。

 ただし、プレヴィンの演奏は、いつものモーツァルトを演奏する時と同じ取り組みで、丁
寧な音づくりと柔らかい感情が伝わってくるもので、流石プレヴィンだと思いました。

 後半はショスタコーヴィチ/交響曲第5番ニ短調でした。私が学生の頃はショスタコーヴ
ィチと言えば交響曲5番の「革命」でした。良く分かりませんが、最近は「革命」という副
題は使わなくなったのでしょうか。

 さて、プレヴィンの演奏ですが、第一楽章の出だしから中盤まで聴いたところで、プレヴ
ィンの高齢が影響して、この内に秘めたエネルギーが最終的に爆発する場面まで持って行く
体力が心配になるくらいおとなしい演奏でした。

 しかし第一楽章の中盤以降になると、徐々にエンジンがかかってきたというか、力強くま
た重厚な音に変化してきました。これはプレヴィンの指示だったのかも知れません。

 演奏の内容は、2楽章以降急速に充実度が増し、最終楽章で全てが燃え尽きた感じの演奏
で、通常のショスタコーヴィチの演奏とは異なる、円熟した大人の内に秘めた魂が昇華する
ような感じを受けました。

 過去にムラビンスキーのような強烈なショスタコーヴィチの演奏を聴いて記憶している世
代ですが、今回の演奏内容は今の自分の状況に合致したショスタコーヴィチであり、プレヴ
ィンの演奏解釈の素晴らしさに、手のひらが痛くなるほど拍手をした演奏でした。

 とにかくプレヴィンの演奏は、円熟した大人の演奏で、どの曲でも優しい精神が入れ込ま
れていてゆっくりとした感動が伝わってきます。本当に満足出来た演奏会でした。