くりぃーむソ~ダ

気まぐれな日記だよ。

地図にない場所(47)

2020-05-20 19:18:46 | 「地図にない場所」
         6
 サトルとガッチは、必死の覚悟で、この果てしない川に挑みました。しかし、行けども行けども、景色は変わらず、風に吹かれていく雲までもが、まったく同じ雲のように見えるのでした。お日様はあいかわらず煌々として、川の水はそれに答えるかのように、反射のダンスをキラキラと舞っています。ただ、救命艇を漕ぐ二人だけが、この場に似つかわしくない存在のようでした。
「くそっ、やっぱりあのまま船にいればよかったかなぁ」と、ガッチが大の字に寝転びながら言いました。「この川には果てなんかありゃしないぜ。……あの船長、あれでなかなか哲人だったのかもしれねぇな――」
「いや、絶対にあるさ。川の果ては絶対にある。きっと見えるさ。きっとね……」と、サトルはオールを操りながら、まるで自分には向こう岸が見えているかのように、空中を睨みながら言いました。
「――」ガッチは、そんなサトルの顔を黙って見ていましたが、また元に戻ると言いました。「あわててもしょうがねぇか。まぁ、のんびり行こうや。まだ先は長ぇんだ」
 ガッチは、「ファー」と大きな伸びをすると、小さく丸まって、スースーと寝息を立て始めました。
「――きっとあるさ。だけど、ぼくらには見えないだけなんだ。すぐ近くにある。空から見た時は、あんなに小さな川だったじゃないか。ないわけないじゃないか。きっとある。今も、もうそこに見えているのかもしれない」と、サトルは自分に言い聞かせるように、繰り返しました。
 しかし、サトルの願いとは裏腹に、川の景色は、いっこうに変化しませんでした。天と地を二分するような水平線が、右から左に湾曲して走っていました。その線から真っ白な雲が湧き上がり、真っ青な波が姿を消しました。この世は平面ではないか、とオールを操る手が、考えると自然に強ばりました。もしかすると、自分はこの世の終点に行こうとしているのかもしれない。このまま進み続ければ、奈落の底に落ちこんで、永遠に戻ってこられないんじゃないか。もしかすると、この世を支えている巨大なとぐろを巻いた蛇に、食べられてしまうんじゃないか……。
 次から次へと、思いもしない想像が、サトルの心に浮かんでは消え、消えては浮かび上がりました。サトルの信念を、なんとかねじ曲げようとしているかのようでした。想像する度に、サトルは自分の考えに溺れそうになり、その度に、食い尽くされそうになり、ややもすれば、それがそのまま現実になってしまいそうでした。
 白日夢に悩まされながらも、サトルは負けるものか、と口をへの字にして我慢しました。向こう岸に着け、とその思いだけが、悪鬼を封じこめる呪文のように、何度となく繰り返されました。

「やった、見えた!」

 と、サトルがうれしそうに叫びました。

「――なに?」
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よもよも

2020-05-20 06:20:27 | Weblog
いやはや。

仕事終わってテレビ点けても

ウィルスの話ばっかり。。

だけどついついガン見してしまうのは、

その真っ只中に巻きこまれてるからなんだよなXXX

昨日も全国の自治体が制限解除に向けて

動き出してるってその横で、

北海道はまだまだ全然とかって改まった感じで伝えられると

がっかりなんだかしょぼんなんだか、

うなだれた背中がしゃんと伸びんわ・・・。

なんでも、ほかの地域に比べて気温が低いのが原因じゃないかとかって。。

北海道の魅力的なポイントのひとつが、

一方では大きなネックになってるってのは、

じゃあいつまでこの状態が続くのかって、

ついつい無機質なはずの画面に食ってかかりたくなる。。

はぁ。しんど。
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