サトルもこくんとうなずくと、二人は一緒になって小屋の外に出ました。と、窓からのぞいていたのとは、まったく違う光景が目の前に広がっていました。窓から見えていたお城は、確かにはっきりそれとわかるほど、くっきりと青く浮かび上がっていましたが、外に出てくると、サトルをすっぽりと隠してしまうほど背の高い雑草が、そこいら一面に茂っているのでした。もちろん、ねむり王の青い城は、痛くなるほど目をこらしても、そよそよと揺れる草むらの隙間から、わずかに見え隠れするだけでした。
「これもきっと、ねむり王がやったのに違いないよ――」と、サトルは草をかき分けかき分け言いました。
「こりゃひでぇな。まるで密林だ……。注意しねぇと、自分がどこにいるか、さっぱりわかりゃしねぇぜ……」と、ガッチはサトルの頭のてっぺんに立って、辺りを見回しながら言いました。
二人は、ズンズン、ズンズンと進んで行きました。けれども、ねむり王のいるお城はいっこうに近づかず、まるで、サトル達が近づいて行くにつれ、お城もそれに合わせるようにして、遠ざかっていくようでした。
「おかしいなぁ……」と、サトルが息を切らせながら言いました。
「――おかしいぞ、こりゃ絶対におかしい」と、ガッチがサトルから飛び降りて言いました。「サトル、なんか小さくなった気がしないか?」
「えっ?」と、サトルはガッチを振り返りました。すると、今まで自分の腰よりも低かったはずのガッチが、いつの間にか腰よりも背が高くなっていました。おかしく思って、周りの雑草を見回しましたが、雑草までもが、背を伸ばしたように見えました。
「どうしたんだろう……」と、サトルが心配そうに声を出しました。
「なんか変だと思ったけど、歩いて行くにつれてサトルの背が縮んでったみたいだ。でも、どうもおかしいのは、おれの大きさは変わってないって事だ――。ちっ、よくわかんねぇなぁ……」
サトルとガッチは、ちょっとの間考えていましたが、立ち止まっていてもしょうがないので、ねむり王のお城に向かって、すぐにまた歩き始めました。今度は、ガッチはサトルの肩には乗らず、サトルの後ろについて、歩いて行きました。
「――おい、どうしたんだサトル」と、ガッチが遅れだしたサトルに言いました。
「なんかわかんないけど、いつものとおり歩いてるつもりなのに、だんだん遅れちゃうんだ」と、サトルが苦しそうに言いました。
「おや。そういや、また小さくなったみたいだぞ――」
「あっ!」と、サトルは悲鳴のような声を上げました。ガッチの言うとおり、確かに前よりも背が低くなっているのでした。腰のちょっと上ほどだったガッチの背は、今では胸の下ごろにまで高くなっています。ただでさえ背の高かった雑草は、もうそれは、木のように高く見えました。
サトルとガッチが、さらに歩き続けると、サトルの背は、ほとんどガッチと差がないほど低くなり、周りの草も、もうもうと茂った竹林のようになりました。ねむり王のお城は、背丈の高くなった雑草によじ登らなければ、その姿を確認できませんでした。お城は、しかし先ほどと比べても、あいかわらず同じ大きさのままに見えました。
「これもきっと、ねむり王がやったのに違いないよ――」と、サトルは草をかき分けかき分け言いました。
「こりゃひでぇな。まるで密林だ……。注意しねぇと、自分がどこにいるか、さっぱりわかりゃしねぇぜ……」と、ガッチはサトルの頭のてっぺんに立って、辺りを見回しながら言いました。
二人は、ズンズン、ズンズンと進んで行きました。けれども、ねむり王のいるお城はいっこうに近づかず、まるで、サトル達が近づいて行くにつれ、お城もそれに合わせるようにして、遠ざかっていくようでした。
「おかしいなぁ……」と、サトルが息を切らせながら言いました。
「――おかしいぞ、こりゃ絶対におかしい」と、ガッチがサトルから飛び降りて言いました。「サトル、なんか小さくなった気がしないか?」
「えっ?」と、サトルはガッチを振り返りました。すると、今まで自分の腰よりも低かったはずのガッチが、いつの間にか腰よりも背が高くなっていました。おかしく思って、周りの雑草を見回しましたが、雑草までもが、背を伸ばしたように見えました。
「どうしたんだろう……」と、サトルが心配そうに声を出しました。
「なんか変だと思ったけど、歩いて行くにつれてサトルの背が縮んでったみたいだ。でも、どうもおかしいのは、おれの大きさは変わってないって事だ――。ちっ、よくわかんねぇなぁ……」
サトルとガッチは、ちょっとの間考えていましたが、立ち止まっていてもしょうがないので、ねむり王のお城に向かって、すぐにまた歩き始めました。今度は、ガッチはサトルの肩には乗らず、サトルの後ろについて、歩いて行きました。
「――おい、どうしたんだサトル」と、ガッチが遅れだしたサトルに言いました。
「なんかわかんないけど、いつものとおり歩いてるつもりなのに、だんだん遅れちゃうんだ」と、サトルが苦しそうに言いました。
「おや。そういや、また小さくなったみたいだぞ――」
「あっ!」と、サトルは悲鳴のような声を上げました。ガッチの言うとおり、確かに前よりも背が低くなっているのでした。腰のちょっと上ほどだったガッチの背は、今では胸の下ごろにまで高くなっています。ただでさえ背の高かった雑草は、もうそれは、木のように高く見えました。
サトルとガッチが、さらに歩き続けると、サトルの背は、ほとんどガッチと差がないほど低くなり、周りの草も、もうもうと茂った竹林のようになりました。ねむり王のお城は、背丈の高くなった雑草によじ登らなければ、その姿を確認できませんでした。お城は、しかし先ほどと比べても、あいかわらず同じ大きさのままに見えました。