サトルは、見たこともない怪物の姿にゴクリと唾を飲みこみました。すると、サトルに気がついたのか、鳥の怪物がちらっとサトルを見たような気がしました。サトルは、びっくりして、「あっ……」と、小さな声を出してしまいました。と、鳥の怪物は本当に二人に気がついて、先ほどまでとはぜんぜん違ったうれしそうな声を上げると、真っ逆さまに急降下してきました。
「ガッチ! 逃げろ――」
サトルは、ガッチの肩を叩いて教えると、ガッチも「なんてこった……」と言って脇目もふらず、一目散に駆け出しました。けれど小さくなった体では、近そうに見える距離でも、決して思ったよりも近くはありませんでした。
駆け出したと思う間もなく、鳥の怪物が鋭い爪で襲ってきました。サトルはすんでの所で、空中に舞い上げられる所でした。二人は、凸凹の地面を転がるように逃げましたが、なんとか食べてやろう、とこちらも死に物狂いで襲ってくる怪物は、なかなかあきらめようとしませんでした。
サトルとガッチが追っ手から逃げ延びようとしていると、あわただしい物音に気づいて、群れていたほかの怪物達もが、二人を目がけて飛びかかってきました。
「くそったれ、食われてたまるかっ!」
と、小石に蹴躓いたガッチの上に、手足のないミミズの竜が飛びかかってきました。ガッチは後ろ手に砂をつかむと、竜の目玉めがけてパッと浴びせかけました。竜は、砂をまともに両目に浴びて、クワォーと苦悶の咆哮を上げ、後ろにひっくり返りました。サトルは、ガッチが倒れたのを知らずに走っていましたが、竜の声に気づいてあわてて引き返して来ると、ガッチを助け起こして、一緒に走り出しました。
その間にも、猛り狂った怪物達は、わんさか寄り集まってきており、二人にはもう一刻の余裕もありませんでした。
いくつもの大きな顎に追い立てられるようにして、サトルとガッチは、やっとの事でイバラの森に逃げこむことができました。
サトル達が体を低くしてイバラの根元近くに潜りこむと、空を飛んでいた一匹のセミに似た怪物が、猛スピードで襲いかかってきました。しかし、二人の逃げ足が予想以上に速かったのと、イバラの森が針のような茎を四方八方に張りめぐらせていたので、セミの怪物は、絶叫と共にイバラに張りつけになり、さながら自分から標本になったセミのようでした。
「ハァ、ハァ、ハァ……。やっと逃げられたぜ。あぶねぇ、あぶねぇ――」と、ガッチが汗をぬぐいながら言いました。
「あっ、ガッチ見てよ――」と、サトルは張りつけになったセミの向こうを指差しました。「ほら、あそこにも引っかかっている怪物がいるよ」
「ガッチ! 逃げろ――」
サトルは、ガッチの肩を叩いて教えると、ガッチも「なんてこった……」と言って脇目もふらず、一目散に駆け出しました。けれど小さくなった体では、近そうに見える距離でも、決して思ったよりも近くはありませんでした。
駆け出したと思う間もなく、鳥の怪物が鋭い爪で襲ってきました。サトルはすんでの所で、空中に舞い上げられる所でした。二人は、凸凹の地面を転がるように逃げましたが、なんとか食べてやろう、とこちらも死に物狂いで襲ってくる怪物は、なかなかあきらめようとしませんでした。
サトルとガッチが追っ手から逃げ延びようとしていると、あわただしい物音に気づいて、群れていたほかの怪物達もが、二人を目がけて飛びかかってきました。
「くそったれ、食われてたまるかっ!」
と、小石に蹴躓いたガッチの上に、手足のないミミズの竜が飛びかかってきました。ガッチは後ろ手に砂をつかむと、竜の目玉めがけてパッと浴びせかけました。竜は、砂をまともに両目に浴びて、クワォーと苦悶の咆哮を上げ、後ろにひっくり返りました。サトルは、ガッチが倒れたのを知らずに走っていましたが、竜の声に気づいてあわてて引き返して来ると、ガッチを助け起こして、一緒に走り出しました。
その間にも、猛り狂った怪物達は、わんさか寄り集まってきており、二人にはもう一刻の余裕もありませんでした。
いくつもの大きな顎に追い立てられるようにして、サトルとガッチは、やっとの事でイバラの森に逃げこむことができました。
サトル達が体を低くしてイバラの根元近くに潜りこむと、空を飛んでいた一匹のセミに似た怪物が、猛スピードで襲いかかってきました。しかし、二人の逃げ足が予想以上に速かったのと、イバラの森が針のような茎を四方八方に張りめぐらせていたので、セミの怪物は、絶叫と共にイバラに張りつけになり、さながら自分から標本になったセミのようでした。
「ハァ、ハァ、ハァ……。やっと逃げられたぜ。あぶねぇ、あぶねぇ――」と、ガッチが汗をぬぐいながら言いました。
「あっ、ガッチ見てよ――」と、サトルは張りつけになったセミの向こうを指差しました。「ほら、あそこにも引っかかっている怪物がいるよ」