くりぃーむソ~ダ

気まぐれな日記だよ。

地図にない場所(48)

2020-05-21 19:21:21 | 「地図にない場所」
 ガッチが、サトルの声に飛び起きました。しかし目の前には、これまでと別に変わり映えのない景色が、相変わらず広がっているだけでした。
「ちぇっ、びっくりさせんなよ」と、ガッチは肩を落として言いました。「なんにも見えないじゃねぇか。どうかしちまったんじゃないのか――」
「なに言ってるんだよ。ほら、目の前だよ。ちゃんと見て。ぼく達、とうとう向こう岸に着いたんだよ――」
 サトルは感激しているのか、わずかに声が震えていました。
「――おいおい。それ本気で言ってるのかよ」
 ガッチは起き上がって、もう一度前をよく見ました。と、いきなりガクッという大きな揺れが来て、ガッチは「おわっ……」と、救命艇の外に投げ出されてしまいました。
「うわっ――。おいサトル、助けてくれ。なんか、やけに体が重いんだ。こりゃただの水じゃねぇぞ」と、ガッチはあっぷあっぷしながら言いました。

「ハッハッハッ……」と、サトルは笑いました。「なにやってるのさ、ガッチ。自分の足で立てばいいじゃないか」

「はぁ?」と、ガッチが信じられないという顔で言いました。「おまえ、おれが見えねぇのか」
「ガッチ、ふざけないでよ。冗談が過ぎるよ――」
 ガッチがなにか言い返そうとすると、サトルが水の上にちょこん、と飛び降りました。
「おい――」と、ガッチはサトルが気でも違ったのではないか、と思いましたが、次の瞬間には、サトルがすっくと水面の上に立ち上がりました。ガッチがあ然としていると、サトルは浜に救命艇を引き上げるような格好をして、
「――フゥーッ」
 と、満足げに長い息をつくと、ゆっくりとガッチの所に近づいてきました。

「――おい、頼む。おれに近づくな。おれに近づくなってば」

 ガッチの悲鳴を無視して、サトルは、砂浜の上で手足をばたつかせているガッチを、ひょいと拾い上げました。
「どうしたのさ。もう、なんでもないでしょ……」

「エッ?」

 と、ガッチは言うと、辺りを見回しました。すると、サトルの言うとおり、自分が溺れていたと思っていた場所は、もう川の中ではなく、波紋の浮かび上がった白い砂浜の上でした。
「――なんてこった。どうなっちまってんだ……」と、ガッチはサトルに抱きかかえられながら、頭をくしゃくしゃに掻き乱しました。
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よもよも

2020-05-21 05:58:40 | Weblog
いやはや。

宣言解除される自治体うらやましいけど、

今月末ならまだ望みあるし、

がんばらないと。


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