知的成長戦略論-クールに生きる

かっこよく生きるためのメモ。
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日本学術会議による科学の政治利用

2020年10月04日 | 国家論
日本学術会議は、
 学問研究及び提言が目的であり、政治的に中立でなければならない。

これは、
 自然科学者は当然、納得する
と思います。

 自然科学者の役割は、科学の発展により人類を幸せにすること
であり、 
 ダイナマイトによって鉄道の敷設が推進し、生活が豊かになった
ように、
 平和利用につながることを願って、研究をしている
わけです。

また、自然科学は、 
 客観的なデータや自然法則に基づくため、学者による意見の集約は可能です。

数学は、一つの答えを導くことができることからも、
 このことは分かると思います。


問題は、人文・社会科学です。

特に、政治学や法学は、
 様々な意見や立場があり、学説が対立している
わけです。

自然科学と異なり、
 研究対象が、人や人の集まりである社会である
ため、
 様々な考えを持つ人がいる以上、一つに意見の集約などできない
からです。
ここが、問題の本質となってきます。


*****
日本国憲法では、思想・良心の自由(19条)として、
 どんな思想・信条を持っていようが、内心にとどまる限り、絶対的に保障されています。

ただ、
 他者も同様に思想・信条の自由が絶対的に保障されている
ため、
 自分の考えが、絶対的に正しい
と押しつけることは、許されません。

また、
 公務員、特に裁判官など、法律に従い公正・中立な行動が要求される
場合、
 極端に偏った過激な思想・信条を持つ人はふさわしくない
と考えられます。

特に、
 内心にとどまらず、行動となって現れた場合、
 その中立性に疑いを与える行動に対し、懲戒処分を行うことも認められる
ことになります(寺西判事補事件)。

この裁判官は、自分と異なる思想・信条を持っているから、
 自分は不当に刑が重くなっているんじゃないかな
と不審に思われてしまえば、
 司法権への信頼が揺らいでしまう
からです。
このことは、韓国司法を見るとよく分かります。
 自分は、親日思想を持っている人を殴り殺した反日思想家の刑が著しく軽かった
ため、
 親日思想を内心で持っていても、口には出せない
という人もいるはずです。
裁判官は、法律にのみ従い、公正であるという信頼が第一なわけです。
このことは、国人の全体の奉仕者である公務員にも当てはまります。
自分と同じ思想・信条を持つ人は、生活保護の判断で有利に扱い、異なる人は不利に扱うというような、
 信頼が損なわれる行為
があってはならないわけです。

裁判官の採用について、
 修習生が思想・信条を理由に、任官が認められなかったことを訴えた裁判で、
大阪地裁は裁量権の逸脱について以下のように述べています。

以下引用
本件任官拒否が、最高裁判所の前記判断基準に照らし、裁量権の逸脱ないし濫用に当たるかについて検討する。
 前記前提となる事実及び《証拠略》を総合すると、
(1)原告は、最高裁判所が、裁判官には外見上の公正らしさも要請されるとしていることや、
判事補の採用に当たり、将来(任官後)、公正らしさを害するおそれがないかを重要な判断基準としていることに極めて批判的であり、
(2)他の任官志望者は萎縮しており、原告が参加すべきであると考える自主活動等に見向きもしないとして、
前記判断基準に従うことを潔しとしない旨をしばしば表明してきた者であって、
(3)司法修習生の「春の集会」において、文書を配布したり、「青法協通信しに投稿すること等を通じて、いささか挑発的な論調で、
「安易に『圧力に屈する」ことを覚え『妥協する』ことに慣れてしまった者が、そもそも裁判官になってしまっている。」として、
現在の裁判所のあり方を批判し、
(4)自己の信念を外部に表明して実現することに重きを置いており、外見上の公正らしさを保持することには価値を認めておらず、
(5)他の司法修習生、とりわけ任官希望者の中で際立った存在であった、と認められる。
 右事実によると、原告が判事補に任官した場合、原告に対し、公正らしさを保持する努力を期待することは困難であると考えられ、
最高裁判所の前記判断基準に照らすと、裁判官としての適性に難があると判断されても、相当性を欠くとはいい難い。
(大阪地裁平成12年5月26日判決)アンダーライン筆者加筆
****

このように、職務の内容から、公正・中立性が要求される場合には、
 採用する側は、公正・中立性を維持するという目的のために、当該人物の思想・信条が現れた行動などを考慮しても
 裁量の逸脱には当たらない
というわけです。

今回の推薦者に対する任命拒否も、
 公務員という側面を有し、法律上、内閣総理大臣に任命権があるとされている
ことからすると、
 裁量権の逸脱
とはいえないという判断になると思われます。

また、内閣総理大臣の裁量の範囲のことであり、個人のプライバシーに関わることでもあるため、
 どういう点で任命を見送ったのかを事細かに説明する義務
もありません。

裁判官の任官拒否においても、
 あらゆる事情を考慮して、任官をしないという判断に至りました
という程度で、
 どういう言動が問題となったのかなどは明らかにされません。


*****
日本学術会議の最大の問題は、
 科学者の立場から、本来は政治的に中立でなければならない国家機関
であるにもかかわらず、
 特定の政治思想を持つ人達が力を持つ集まりとなってしまったこと。

さらに、自分たちの思想・信条に反するおそれがある
 自然科学の学者に対する学問の自由を侵害している
ということです。

例えば、
 原子力の研究や軍事研究は、自然科学の立場からは当然認められる
ものです。

原子力の平和利用(原子力発電)や、自衛のための戦力として、
 国民の生活を豊かにする
ことにつながるからです。
学問として、世界中で認められています。

しかし、人文科学の提言において、日本学術会議の提言として、
「原子力発電反対」、「自衛のための戦力も不保持である」という政治的見解
が入り込んでしまうと、
 日本学術会議の会員としては、原子力の研究や兵器に利用可能な研究に支障が出てしまう
わけです。

そうであると、
 コストの面や二酸化炭素の削減の世界の世論から、やはり原子力発電も有効に活用した方がよい
という国民の世論が高まったとしても、
 原子力の研究が、日本学術会議の圧力によって、できなくなってしまう
おそれがあるわけです。

現に、自衛のための兵器も含め、兵器に使うことができる研究は難しい状況になっています。
これを喜ぶのは、日本を侵略しようとする国のみであり、
 国民の利益にはつながりません。

このように、
 学問の自由に特定の政治的な見解が入りこまないようにするには、
 人文科学と自然科学を明確に分ける
ことです。

人文科学は、
 政治的な見解がどうしても入り込んでしまう
からです。

海外のアカデミーでは、自然科学が中心であり、政治利用されないように配慮されています。

日本学術会議は、HPで、
 日本学術会議は、わが国の人文・社会科学、自然科学全分野の科学者の意見をまとめ
 国内外に対して発信する日本の代表機関です。
と謳っていますが、
 言い方を変えれば、人文科学者により政治利用されるおそれがある機関です
と言っているのと同じです。

また、
 人文・社会科学は、学者によって立場が異なるにもかかわらず、むりやり意見をまとめようとしている
ことからすると、
 異なる見解を持つ学者の思想・信条、学問の自由を侵害している
と言っていることにもなります。

憲法第9条第2項前段の内容である「戦力の不保持」を
 自衛のための戦力は認められる(政府見解)

 一切の戦力の不保持(共産党)
とで、
 一つの意見にまとまるわけがないからです。

日本学術会議に、
 特定の政治思想が入り込み、学問研究に支障が生じている
ことは、
 日本の学問研究を阻害している
要因となっています。

このことは、実際に、会員であった科学者のレポートを読めば、
 言葉に配慮しながらも、自由に研究できないことへの不満、
 研究したいという科学への熱い思いが伝わってくる
と思います。

安全保障に関する日本学術会議声明 ―若手天文学研究者に向けて― 須 藤   靖
http://www.asj.or.jp/anzen-tenmon/110_728.pdf
学術会議声明批判 戸 谷 友 則
http://www.asj.or.jp/anzen-tenmon/112-1_47.pdf

これらのレポートからは、
 日本学術会議が特定の政治思想を持つ学者に牛耳られ、腐敗してしまい、
 中立的な自然科学者がいかに苦しめられているか
がよく分かります。
このことを、メディアは報道すべきだと思います。


今回の騒動は、
 特定の政治思想を持つ学者
が、人事という既得権に口を出した政府に対し、
 既得権を守ろうと抵抗勢力として反発し、
 特定の政治思想を同じくする共産党と立憲民主党が必死で守ろうとしている
という構図が見えてきます。


日本学術会議のような学問研究機関は、
 政治的に中立であり、国民の利益となるように学問研究に邁進すべきだ
と思います。

政治的中立性の維持が無理であれば、
 国民の利益につながらない以上、税金を毎年10億円もつぎ込み、
 学者の政治活動を応援する必要はない
ため、
 廃止すべきだと思います。

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