偶然ではあるが、今回の旅で二つの美術館を見つけた。
ひとつは「中山道広重美術館」、もうひとつは「岐阜浮世絵春画美術館」である。
いずれも計画には無く、偶然に見つけたのであった。
「中山道広重美術館」(岐阜県恵那市)は、館名が示す通り中山道と広重をテーマとする作品を集めている。
1階の展示室には、日本橋を起点とし京都を終点とする木曽街道(中山道)六十九次の作品が通して展示されている。
歌川広重、渓斎英泉のホンモノの「木曽街道六十九次之内」を、胸をワクワクさせながら次々と観てまわった。
2階は資料館のようになっていて、展示のほか、版画を刷る体験もできる。
サンプルの「大井」(赤、黒、黄、青、茶)を刷ってみたが、ホンモノとは比べるべくもないが初挑戦ながらよくできた。
もう一か所の「岐阜浮世絵春画美術館」は、岐阜公園(岐阜市)の近くにある。
「こんな珍しい美術館があるんだ!」と驚きの気持ちを抱きながら入ってみた。
閉館直前の時刻であったが、館長さんが気持ちよく迎え入れてくれ、その上、親切に説明までしていただいた。
館長さんが40年以上の歳月をかけて集めた、2000点もの「春画」の中から順次展示されている。
肉筆画や版画、カラーや白黒、大から携行サイズまで、一枚ものから綴じた本まで多岐にわたる。
対象も、花魁からお公家様らしき人までもが描かれていて興味深い。
作者には、喜多川歌麿、歌川広重、鈴木晴信など、私でも知っている有名な浮世絵師も並んでいる。
実は、これはちょっと驚きであったが、さすがにきれいな絵を描いている。
以上の浮世絵の美術館二館の鑑賞は、今回の旅では想定外であった。
日常ではあり得ないと思っていたことが突然実現し、なんとも楽しい経験が出来た。