YUNUBI

YUNUBI=ユヌビは、私が嫁いだこの地の方言名だ。30年余の会社経営、子育てに良くも悪くも終止符をうった。

7ヶ月経った。付き合いパートⅡ

2008-01-16 | Weblog
 弁護士に、破産の方向へ依頼してから7ヶ月が経過した。破産に関する私のイメージは全てをなくした人間が、文字どおりなすすべもなく全て弁護士が事を進めて行った上の結論だと思っていた。
 だが、違った。当然といえば当然なのだがまず債務の報告、手持ち財産の目録等書類つくりから始まった。
 それらに、添付される公的書類(登記簿類、証明書)も結構な手数料がかかったが、おおよそ提出したときは、1ヶ月が過ぎ私らの経営していた会社は、本来の決算期を迎えていた。事務的作業の中で、落ち着きを取り戻した私は、決算処理を進める事にした。労災、税金等の還付が取り付けられるからだ。書類の整理を一人で黙々と進める私の元へ、事務員だった彼女が手伝いたいと申し出てくれた。
 今回の会社倒産について、私の周りで事の成り行きについていくしかなかった彼女。到産の1週間前は私の指示で銀行へいったり、外出させる事が多くなったが、心もとなく用件を忘れたり時間がかかったりドジ続きに自分でも驚いていた。張り詰め落ち着かないつらい1週間だった筈なのに---。もともと明るくて立ち直りが早い彼女の良さに感謝し、手伝ってもらうことにした。

 彼女が来たことで、税理士に電話をし決算処理をやる旨を伝えると、破産処理を進める中での、決算処理はやったことがないとの事だったが、24年間のお付合いに免じてボランティアでやりますとの返事は有難いと感謝した。
 この頃に、たな卸し資産に計上しているヤードのプレハブ小屋や、作業道具、クーラー等、中古だが十分使用できる品々がなくなっているのに、気が付いた。
 突然の倒産に、請求書が出せず何か持っていければと、対処した業者がいた事も周囲の情報から入ってきた。請求書以上の物をもっていった業者もいたが、債務が生じたにもかかわらず、「ながい付き合い今まで、仕事をありがとう」「ご苦労様、体に気を付けて」と言葉をかけてくれた経営者がいた事に感謝した。

 突然の倒産を、社員には知らせなかった。理由は、その時抱えていた仕事がきちんと完了するからである。だが、一番の理由は長い付き合いの中で、彼らをよく知っていたから。性格上、月末に手形が不渡りになるという不穏な空気では、彼らは動揺し仕事が完結しない。私は、彼らの家族を良く知っていた。資金繰りが苦しくても、良くなると信じふんっばったのは、彼らの家族の顔があったからである。
 それも、遠い昔のようだ。結局どうにもならず、どうしようもなかった。
倒産した日の社員の様子は、弁護士や事務員の彼女の話から想像どおりだった。「来月は給料がでない」事態に労働基準監督所に電話したり、弁護士に電話したりかなり動揺したのは言うまでもない。

 突然、姿を消した私らに、携帯電話があるのに7ヶ月経った今も、彼らからは、電話ひとつない。夫にさえ、なぜなのか!?

 素人から資格取得をし、業界で何とか仕事ができるようになった彼らだったが、私に言わせると会社に利益をもたらす意味をわかろうとしない人間だった。
 そんな彼らを、友情だとか身内意識だとかで採用した夫との間に激しいやり取りがあった。止めさせることが出来なければ社員教育で、又は資格で変えようと努力した。だが、人は簡単には変わらない。
 1個の事業が厳しい予算なら逃げ腰、責任のがれにリーダー役をおりる、それでも、製品を何とか顧客に渡せる内に赤字にも慣れたのか、寡黙になった彼ら。今、私の脳裏に浮かぶのは能面のような無表情な彼らの顔だ。彼らとの付き合いは長い---夫は願いを込めて彼らを見守っていたと思う。
 倒産後の10日間の旅は、傷つきくたびれた夫を知ることになった。

 尻たたきの私が、彼らのなぜ?を理解する日がくるのか?
彼らの給料は、回収債権から優先され支払われると聞き、給料台帳も提出した。
コメント
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