決算処理がすみ、かなりの額の還付金を確定し決算書を提出できた頃には、事情聴取もほぼ終わりに近かった。
弁護士事務所の私らの、担当職員は30歳になったばかりの若い女性である。倒産をきめてから、すぐに私らの担当となった彼女との付き合いは、もう7ヶ月になるのだ。丁寧で毅然とした対応の中にも優しさがみえるのは、彼女本来の性格だと思う。が、私とのやり取りは事務的にならざるをえず、いったん提出した書類の内容をさかのぼって言葉で確認するという作業は、彼女にとっては、事実に基づいた冷静な記述の必要性があったに違いない。
この間、私には30年前の会社設立時のいきさつから現在までの大波、小波、寄る波、事細かに記憶を正す作業になった。
夫は、私が倒産後の会社の決算処理に追われる頃、倒れた母親の入院する病院に足しげく通っていた。こんな時だが、最後の親孝行になると思った。
会社の事情聴取の、再々の確認作業は、私がやらざるをえずその事は、事情を誰よりも把握していた私だから、当然の作業だとの思いがある傍らで、その他の事でも私の心はザラザラとイラだってきた。
例えば、カード会社から、更新料のみの請求など、私としては言いたくもない破産手続きをしている事を告げなければ、解約に応じないカード会社がある。その一方、自分が入った保険やネットのプロバイダーのお金のたてがえカード会社や、さろに、NTTと半分かかわったような料金システム、リース契約の裏のカード会社、それらは、一つの契約に、3社が関わっているような現在の複雑な購買社会を、今更のように認知しなければならず、つまり3社全部とやり取りをしなければ解約にならなかった。
立場上、私らはこれらのカード会社に支払いをしてはならない筈だが、私が持っていたカードの5社程、使い出してからは10年程だが便利に使わしてもらった、せめてもの感謝とプライドが、キチンと解約しなければと行動したのだった。
会社のカードも含めると解約まで4、5ヶ月かかったことになる。当初の私の思惑(電話一本で解約)ははずれ、解約までの使用料を払うはめになった。
少しでも、身辺をきれいにしておこうと開き直ったつもりも、破産に向かう自分の立場を再認識することになった。
現代社会の仕組みの中で、労せず、リスクを省くべく、利益をえる、電話の向こうのカード会社や、保険会社等に、無性に腹がたったが、働けど働けど、わが会社楽にならずから、やっと抜けられたとの思いもしてきた。
気が付けば、月日がたって私らの生活の方向が見えぬまま、事を処理しなければと動きつつ、それでも、30年の会社の後かたずけはエネルギーのいる作業だ。
いつでもここを立ち退く用意をしなければといけない。やることが、つぎつぎでてくる。心がザラザラしてくるのは、弁護士事務所に、再々同じ事を話したり、報告することは、一旦はこれでいいのだと納得した筈が、悔しさや、腹立たしさを、付き合いのなかにみたり、自分に腹が立ったりする事になった。
事情聴取の書類ができた(裁判所に提出できる状態)頃、夫の母親が亡くなって49日をむかえた。
弁護士事務所の私らの、担当職員は30歳になったばかりの若い女性である。倒産をきめてから、すぐに私らの担当となった彼女との付き合いは、もう7ヶ月になるのだ。丁寧で毅然とした対応の中にも優しさがみえるのは、彼女本来の性格だと思う。が、私とのやり取りは事務的にならざるをえず、いったん提出した書類の内容をさかのぼって言葉で確認するという作業は、彼女にとっては、事実に基づいた冷静な記述の必要性があったに違いない。
この間、私には30年前の会社設立時のいきさつから現在までの大波、小波、寄る波、事細かに記憶を正す作業になった。
夫は、私が倒産後の会社の決算処理に追われる頃、倒れた母親の入院する病院に足しげく通っていた。こんな時だが、最後の親孝行になると思った。
会社の事情聴取の、再々の確認作業は、私がやらざるをえずその事は、事情を誰よりも把握していた私だから、当然の作業だとの思いがある傍らで、その他の事でも私の心はザラザラとイラだってきた。
例えば、カード会社から、更新料のみの請求など、私としては言いたくもない破産手続きをしている事を告げなければ、解約に応じないカード会社がある。その一方、自分が入った保険やネットのプロバイダーのお金のたてがえカード会社や、さろに、NTTと半分かかわったような料金システム、リース契約の裏のカード会社、それらは、一つの契約に、3社が関わっているような現在の複雑な購買社会を、今更のように認知しなければならず、つまり3社全部とやり取りをしなければ解約にならなかった。
立場上、私らはこれらのカード会社に支払いをしてはならない筈だが、私が持っていたカードの5社程、使い出してからは10年程だが便利に使わしてもらった、せめてもの感謝とプライドが、キチンと解約しなければと行動したのだった。
会社のカードも含めると解約まで4、5ヶ月かかったことになる。当初の私の思惑(電話一本で解約)ははずれ、解約までの使用料を払うはめになった。
少しでも、身辺をきれいにしておこうと開き直ったつもりも、破産に向かう自分の立場を再認識することになった。
現代社会の仕組みの中で、労せず、リスクを省くべく、利益をえる、電話の向こうのカード会社や、保険会社等に、無性に腹がたったが、働けど働けど、わが会社楽にならずから、やっと抜けられたとの思いもしてきた。
気が付けば、月日がたって私らの生活の方向が見えぬまま、事を処理しなければと動きつつ、それでも、30年の会社の後かたずけはエネルギーのいる作業だ。
いつでもここを立ち退く用意をしなければといけない。やることが、つぎつぎでてくる。心がザラザラしてくるのは、弁護士事務所に、再々同じ事を話したり、報告することは、一旦はこれでいいのだと納得した筈が、悔しさや、腹立たしさを、付き合いのなかにみたり、自分に腹が立ったりする事になった。
事情聴取の書類ができた(裁判所に提出できる状態)頃、夫の母親が亡くなって49日をむかえた。