2019/1/1より始めておりますので10日ごとに記録を辿ってみます。
興味のある方はバックナンバーからご覧下さい。
2020/8/1は「6才のボクが、大人になるまで。」で、以下「64-ロクヨン-前編」「ロシュフォールの恋人たち」「ロッキー」「ロミオとジュリエット」「ワイルドバンチ」「ワイルド・レンジ 最後の銃撃」「わが命つきるとも」「わが青春に悔なし」「わが母の記」と続きました。
「マドモアゼル」 1966年 イギリス / フランス
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監督 トニー・リチャードソン
出演 ジャンヌ・モロー エットレ・マンニ
ウンベルト・オルシーニ キース・スキナー
ジョルジュ・オーベール ジェラール・ダリュー
ジャック・モノー
ストーリー
マドモアゼルと呼ばれて村で教師をしている女が人知れず村の上流にある水門を開け放っていた。
村ではこの3週間に2件の放火に今回の水害という事件が発生しているが、警察は犯人逮捕に至っていなかった。
マドモアゼルの視線の先には、村人に交じって危険をものともせず、懸命に家畜の救出作業にあたっていた一人の男の姿があった。
その男マヌーは、友人アントニオ、息子ブルーノとともに、毎年イタリアから材木の伐採のために村にやってくるイタリア人だった。
野性的で魅力的なマヌーは村の女たちを惹きつけ、そんな彼を苦々しく思う村の男たちは、最近村に起こった事件の犯人はよそ者であるマヌーらの仕業だと疑っていた。
その晩もマドモアゼルは、着飾った姿にマッチと火種にするためノートを破った紙片を手に出かけると、とある家の納屋に火をつける。
たちまち家は燃え上がり、駆けつけたマヌーは燃え盛る家中から家財道具を運び出す。
その現場のすぐ近くで、ブルーノが燃えている紙片を拾い上げる。
その紙片から放火の犯人がマドモアゼルであることを知るが、ブルーノは彼女への想いから、それを口にすることができなかった。
マドモアゼルはかつて、森でマヌーらが伐採作業をしているところを何度か盗み見ていたが、オールドミスである彼女はそのたくましい体に惹きつけられながらも、ただ自制するしかなかった。
息子の存在を知った彼女は、ブルーノに学校へ来るように言い、読み書きのできない彼につきっきりで勉強を教え、ブルーノはそんなマドモアゼルに淡い恋心を抱く。
しかし彼女はマヌーが村の女たちと軽々しく興じる姿を目にすると、彼へのいら立ちをぶつけるようにブルーノに冷たく当たるようになる。
そして次にマドモアゼルは家畜の水飲み場に毒薬を入れると、森へ行きマヌーに会う。
たがが外れたマドモアゼルはマヌーが求めるままに体を預け、2人は一晩中森で互いをむさぼっていた。
その頃、水飲み場の水によって家畜が全滅した村では、マヌーの犯行と決めつけて男たちの怒りの矛先がマヌーに向けられる。
一夜が明け、マヌーはマドモアゼルに「明日村を出る」と告げると、彼女は彼から離れて一人村に戻る。
乱れた姿のマドモアゼルに驚いた村人たちは、彼女からマヌーに暴行されたのだと聞くと森へ向かい、そこでマヌーは男たちによって撲殺される。
マヌーの姿が消えたまま、アントニオはブルーノを連れて村を出ることにする。
マドモアゼルもまた村を去ろうとしていた。
荷物を手にしたブルーノは迎えの車に乗り込んだマドモアゼルと目が合うと、腹立たしげに唾を吐きかけるが、マドモアゼルは彼をちらっと見ると村を後にするのだった。
寸評
主人公は村人から「マドモアゼル」と呼ばれているから未婚なのだが、口をへの字に結んで無表情な彼女は禁欲的な雰囲気を漂わせている。
村では不審な事件が続いていて人々に動揺が広がっている。
実は彼女こそその犯人なのだが、まじめな教師としてしか見られていない彼女を誰も疑わない。
疑いの目は、出稼ぎにきているイタリア人に向けられる。
村人たちは何の証拠もないのに家宅捜索をし、証拠が出てこなくても執拗に彼を犯人だと疑う。
ところが禁欲的と思われたマドモアゼルはこのイタリア人に魅かれていく。
マドモアゼルの抑圧された心と反比例するかのように悪事をエスカレートさせていくヒロインの描き方が強烈だ。
男と関係するところも生々しい。
マドモアゼルは村を去る時でも村人から信頼されている。
彼女の真の姿を知っているのはブルーノだけだが、彼は唾を吐き捨てるだけだ。
そんな彼をマドマゼルは気にしない。
セレブを装う女性も一皮むいた裏の顔は分からないと言う事だろう。
もともと女性は恐ろしい動物の一面を持っているのだと思うが、それは僕の偏見かも。
映画は残酷でもあるがモノクロ映像の為か、美しさを感じるものがある。
ジャンヌ・モローはすごい!