おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

博奕打ち いのち札

2025-02-05 08:56:24 | 映画
「博奕打ち いのち札」 1971年 日本


監督 山下耕作
出演 鶴田浩二 若山富三郎 安田道代 水島道太郎
   若山富三郎 渡瀬恒彦 遠藤辰雄 林彰太郎
   野口貴史 正司照江 天本英世 内田朝雄
   天津敏 八名信夫 川谷拓三

ストーリー
相川清次郎(鶴田浩二)は、東京大森を縄張りとする関東桜田組一家の若衆頭であった。
彼は、賭場開帳による警察の追及を一時避けるための旅先、越後直江津で静枝(安田道代)と知りあった。
静枝は、旅の女剣劇一座の座長中村権之助の養女であり、一座の花形であった。
二人はお互の恋を激しく燃焼させ求め合った。
だが、間もなく清次郎は東京へ帰らなければならなくなり、二人は一年後の再会を固く約束して別れた。
大森では天野良平(天津敏)がひきいる愚連隊新地会がのさばりはじめ、清次郎は新地会とのいさかいで数人を傷つけ、五年の刑に服すことになった。
それから数年後、権之助一座は大森に在った。
権之助は病で倒れ、一座は解散寸前に追いこまれていたが、そうした一座に救いの手をのべたのが岩井一家の組長東五郎(水島道太郎)だった。
東五郎は静枝を妻にと望み、清次郎を探す望みを捨てていた静枝はこれを受けた。
東五郎は刑務所に清次郎を訪ね結婚を告げた。
昭和八年、岩井一家は大森海岸の埋立工事を一手に請け負ったが、この利権に目をつけた岩井一家の本家・桜田一家総長大竹(内田朝雄)は新地会をあやつり、岩井一家と対立させる一方、殺し屋・金原(天本英世)に東五郎の暗殺を命じていた。
清次郎が出所する前日、東五郎は射殺された。
親分を失った岩井一家に、大竹の露骨な魔手が迫った。
一家は静枝をたて、清次郎と彼の弟分で代貸の勘次(若山富三郎)が力を合わせていかなければならなかった。
大竹の策略により清次郎は一家を追われて勘次が総領に坐ったが、やがて東五郎殺しが大竹の手によるものだと知った勘次は殺された。
この報に接した清次郎は日本刀を羽織でくるみ、大竹が仕切る岩井一家へと向った。


寸評
博奕打ちシリーズは小沢茂弘監督によって始められたが、圧倒的に山下耕作監督作品が面白い。
申しわけないが、小沢茂弘の力量不足だと思う。
シリーズの中では第4作の「博奕打ち 総長賭博」がピカイチである。
第9作となる本作も上出来の部類に入る。
このころ東映の任侠映画は絶好調で高倉健、鶴田浩二、藤純子、若山富三郎などが週替わりで登場していた。
僕はこの映画を今はなくなってしまったが梅田新道の角にあった東映会館で見た。
洋画館として東映パラスが会館内にあったが、圧倒的に邦画館の梅田東映が賑わっていた。
オールナイトも行われていて、今と違って入れ替え無しだったので夕刻から入った僕などは夜明けまで滞在し、同じ映画を一晩を通じて2~3回は見た。
北新地が近かったので、深夜になると新地のお姉さんたちが立ち見をしているほどの賑わいだった。
スクリーンと客席が一体化し、主人公が危なくなると「鶴田、後だ!」と声が飛ぶ。
学生運動も激しかった時代で、高倉が「死んでもらうぜ」と言うと、「異議な~し!」と学生らしい客から声が飛んだ。
藤純子がヒロインになることも多かったが、ここでは大楠道代と改名する前の安田道代である。
安田道代は山本富士子の再来と期待された大映の女優であったが、大映が倒産したのでこの頃はフリーだったと思う。
共演した城健三朗(後の若山富三郎)と恋仲になったので、安田の実家が僕の友人宅近くだったため、友人は若山が時々訪ねてくるのを目撃したと言っていた。
両雄の一人である高倉健には色気があったが、一方の鶴田浩二には悲壮感が漂っていた。
山下作品では鶴田浩二から滲み出す板挟みの辛さが最大限引き出されていたと思う。
高倉健と違って、鶴田浩二はスーツを着た現代ヤクザも似合った。
「組長シリーズ」も良かった。
懐かしいなあ~、あの熱気。