おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

日本海大海戦

2025-02-18 07:13:24 | 映画
「日本海大海戦」 1969年 日本


監督 丸山誠治 
出演 三船敏郎 加山雄三 仲代達矢 平田昭彦 土屋嘉男
   佐原健二 アンドリュウ・ヒューズ ピーター・ウィリアムス
   藤田進 柳永二郎 黒沢年男 久保明 佐藤允 小泉博
   田崎潤 辰巳柳太郎 草笛光子 笠智衆 松本幸四郎

ストーリー
19世紀末、欧州列強は争って中国への侵略を続け、明治33年には、日本を含む八ヵ国の連合陸戦隊が排外思想を奉ずる義和団の暴動を鎮圧した。
だが、ロシアだけは満州に兵をとどめて、虎視たんたん日本を狙っていた。
明治天皇(松本幸四郎)は御前会議でロシアとの国交断絶やむなしとし、日露戦争の幕が切って落とされた。
連合艦隊司令長官・東郷平八郎(三船敏郎)は、バルチック艦隊とともに、旅順とウラジオストックにいる太平洋艦隊の動向に気をくばり秘策を練った。
そして広瀬少佐(加山雄三)の旅順港口に老朽船を沈め艦隊を封じ込むという奇策を採用した。
一方乃木軍司令官(笠智衆)率いる陸軍第三軍は、旅順要塞に陸上攻撃をかけた。
だが、ロシア艦隊は封鎖を破り、日本艦隊の砲弾をかわして敗走した。
10月20日、バルチック艦隊がリバウ港を出た。
敵艦が日本海に現われると判断した東郷は、連合艦隊を内地に引上げさせた。
攻撃開始から五ヵ月目の翌年の元日、旅順203高地の敵陣が、乃木軍の手で陥落した。
その頃、ストックホルムで諜報活動をしている明石陸軍大佐(仲代達矢)が、バルチック艦隊の航路が敵司令長官の一存で決まるという情報をつかんだ。
5月20日、見張船信濃丸が五島列島沖にバルチック艦隊を発見。
5月27日、旗艦三笠にZ旗を掲げた東郷長官は、主席参謀・秋山真之(土屋嘉男)が発案した敵の直前を大曲転する大胆不敵な戦法をとり敵の先頭を圧迫した。
激戦は、日本艦隊に大勝利をもたらし、戦勝と平和回復に国民は湧いた
だが、東郷は戦いに勝って真の“戦いの恐しさ”を忘れることができなかった。


寸評
東宝の8・15シリーズの第3弾で、シリーズ屈指のスペクタル作品となっているが、映画そのものは平坦でドラマ性が少ないと感じる。
それは多分、ナレーション中心でドラマが進行し、人物描写が希薄なためだと思う。
東郷長官が妻と語らう場面や、広瀬少佐が部下や友人と語り合う場面が申し訳程度に挿入されているだけだし、203高地での戦いも将兵は単なる消耗品扱いで悲壮感はない。
反面、スペクタクルには力を注いでおり、ミニチュアによる特撮に於ける戦艦の数は群を抜いている。
バルチック艦隊を迎え撃つ日本海海戦ではT字戦法で戦いを有利に進める様子がたっぷり描かれる。
壮絶な死闘は10分以上も描かれサービス精神旺盛である。
凛とした東郷平八郎は三船敏郎ならではである。
広瀬少佐の加山雄三も彼のパターンである好青年を演じている。
笠智衆の乃木は、本人もこんなだったのではないかと思わせる雰囲気を出している。
仲代達矢も彼らしい明石大佐を演じている。
日露戦争における日本海海戦を、ただただ日本人鑑賞者がスカッとするように描いた作品で、東宝の意気込みなのか、パンフレットは通常の物の2倍の大きさであった。