ジーン・ウールの不思議な旅

ジーン・ウールは不思議な女性です。姿を変えて過去にも未来にも現れます。
もしかしたら貴方の友人や奥様かも知れません。

店主ご挨拶

ようこそお越し下さいました。 昨年(2010)、3ヶ月の雲水修行に行ってまいりました。 私は働き者で(自己申告)、精舎は朝は早く夜は遅く「朝瞑想」の時間は、気がつくといつも寝ておりましたが・・。 私の人生の1ページに、思いがけないご褒美を頂けたような日々を過ごさせて頂きました。・・ま、主婦でも決心ひとつで如何様な道も開けるんですね。 今も精舎に行くと「実家に帰った」ような気がします。 このブログ管理人は、最近物忘れ症候群中につき、おいで頂いた感謝を申し上げ、コメントを頂いても書いたり書かなかったり、付き合いが悪いことのご無礼をお許し下さいませ。

お祭りの金魚

2009-09-06 20:02:30 | Weblog
8月24日お地蔵さまの縁日の、金魚すくいの金魚9匹が、水槽で泳いでいる。
最初は小さくて水槽の向こう側で固まっていたが、今はごはんをやると、水面が泡立つほど。

水槽をちょっと覗くと大騒ぎで近寄ってくる。
ご飯だ、ご飯だって騒いでいる。

指折り数えてみたら、我が家に来てから2週間になる。
ちょっと体が大きくなった気がする。

3.4日前近所のお爺さんが、カジカ取りで沢山とれたからとお裾分けを頂いた。
体長2センチとか3センチの川底にへばりついている類の小魚だ。

ザルに入れて洗うと、まだ生きている剛の者もいる。その剛の者を生きたまま煮るのは忍びなくて、すくい上げて水槽に入れてやった。

ドジョウが5匹位と真っ黒なカジカの親戚のような小魚2匹だ。

この剛の者は敏捷で、気が付くと金魚を追い回しているし、時々金魚のしっぽも囓っているみたい。
それで、庭の鳥の水飲み場に引っ越して貰った。
娘の観察によると、カジかくんは緑の苔の縁まで這って、周りの様子を見ているので、そのまま逃走するのかと思ったら、外を眺めて引き返したんですって。

その後、もう一度見たら、水場には既に居なかったらしい。
ヒヨドリに食べられてしまったかも・・あるいは逃走したんだろうか。

いつもより早いけど眠くなっちゃった。お休みなさい・・です。

志賀直哉 「好人物の夫婦」より

2009-09-06 05:32:01 | Weblog
古いメモ帳に、こんなメモもある


深い秋の静かな晩だった。沼の上を雁が鳴いて通る。
細君は食台(ちゃぶだい)の上の洋燈(ランプ)を端の方に引き寄せて、基下で針仕事をして居る。
良人は基の傍に長々と仰向けに寝ころんで、ぼんやりと天上を眺めて居た。
二人は永い間黙って居た。
「もう何時?」と細君が下を向いたまま云った。
時計は細君の頭の上の柱に懸かってゐる。
「十二時十五分前だ」
「お寝みに致しませうか」細君は矢張り下を向いたまま云った。
「もう少しして」と良人が答えた。
二人は又少時(しばらく)黙った。
細君は良人が余り静かなので漸く顔を挙げた。
そして縫った絲を扱き(しごき)ながら
「一体何して居らっしゃるの?そんな大きな眼をして・・」と云った。
「考えているんだ」
「お考え事なの?」
又二人は黙った。細君は仕事が或切まで来ると、絲を断り針を針差しに差して仕事を片付け始めた。
  志賀直哉  「好人物の夫婦」より

菊池寛
「何と云う、冴えた表現であろうと、自分はこの数行を読む度に感嘆する。
普通の作家ならば数十行数百行を尽くしてもこうした情景は浮かばないだろう。
志賀直哉氏はこの数行において多くを描いていない。しかもこの数行において寂しい湖畔における夫婦者の静寂な生活が、如何にもハツラツと描き出されている。
何という簡潔な力強い表現であろう」


たぶん当時は「ふうんこれが簡潔な文章なんだ」ってメモしたんだと思う。
今読むと「良い夫婦だなあ」って胸が痛い。