ジーン・ウールの不思議な旅

ジーン・ウールは不思議な女性です。姿を変えて過去にも未来にも現れます。
もしかしたら貴方の友人や奥様かも知れません。

店主ご挨拶

ようこそお越し下さいました。 昨年(2010)、3ヶ月の雲水修行に行ってまいりました。 私は働き者で(自己申告)、精舎は朝は早く夜は遅く「朝瞑想」の時間は、気がつくといつも寝ておりましたが・・。 私の人生の1ページに、思いがけないご褒美を頂けたような日々を過ごさせて頂きました。・・ま、主婦でも決心ひとつで如何様な道も開けるんですね。 今も精舎に行くと「実家に帰った」ような気がします。 このブログ管理人は、最近物忘れ症候群中につき、おいで頂いた感謝を申し上げ、コメントを頂いても書いたり書かなかったり、付き合いが悪いことのご無礼をお許し下さいませ。

今日のお勧めメニュー 「杏ッ子」 室生犀星

2009-09-07 01:57:40 | Weblog
・・杏子は女といふものは、男の前で見ないと、本当の気持ちが判らないような気がした。

・・「えらい人といふものにはそれぞれ癖があって厭なものさ。平凡で人間としては爽やかな男が一等いいんだよ。えらい奴には飽き飽きするよ。えらくない男は少しづつえらくなることに無上の愉しさがあるね」

「えらくなれなかったらお金がとれないじゃないの」

「それなんだ。其処で何時も問題は行詰まるんだが、食べられるだけ取ればその中で遣り繰りをして、愉しいものを最小限度にすくひ上げるんだね。卵5つを買ひ、菊一本を買ひ、古本で文庫本一冊を買ひ・・・」

「また始まったわね、千圓を一萬圓に使へと仰有るんでせう」

「そうだよ、我々貧乏人は千圓をこなごなに砕いて、そのかけらで、想像も出来ない生活の設計が出来上がるんだ。林檎や夏蜜柑は二十五圓出せば買へるんだ。驚くじゃないか。あんな立派な奴を二個も買へば二日間はある。印度林檎を一箱買ふ奴は、その美しさも詩情も喜びも持てない。
夏蜜柑一つだって座敷の真中に置いてみたまえ。いかなるものも圧倒されるし、よく考えると此の小さい奴の威張らない美しさに負けてしまふ」

                       室生犀星


これ、室生犀星の「杏ッ子」の大好きなところです。

卵5つを買ひ、菊一本を買ひ、古本で文庫本一冊を買ひ・・・

「千圓を一萬圓に使へ」


今日はこの言葉をあなたにプレゼント。