23-231「３０Ｓ」（日本）

約束を守れそうにない
　30歳の誕生日を数日後に控えた向井タケルのもとに、大学時代の同級生だった御手洗甲から「約束守れなくてごめんな」というメッセージが届く。それをきっかけにタケルは、大学時代の“ある言葉”を思い出す。
　そんなある日、御手洗の妹の薫から電話が入る。薫はタケルに、甲が失踪したことを告げ、居場所に心当たりがないか尋ねてくる。
　御手洗の失踪を合図に、それぞれの人生の歯車が大きく動き出す。（「作品資料」より）


　１９９２年１０月３１日という同じ誕生日である、タケルと蓮香、甲の三人。

　二十歳の誕生日に十年後の自分にメッセージを残し、三人はある約束をする。

　そして十年後、三十歳の誕生日を間近に控えたタケルと蓮香に甲が失踪したという報が入る。

　それをきっかけにタケルと蓮香は、三十歳を目前にした自分たちを見つめ直す。

　甲の妹であるという薫が、兄を見つけ出すため様々な行動を起こす。

　薫の探偵行であり、タケルと蓮香が今の自分を見つめ直す話となっている。

　恐らく、ある区切りをもって、自分を見つめ直すというのはあることであり、特に三十歳という年齢は、まだやり直しが効くかもしれないと思う年齢だろうな。

　そしてあの頃に思っていた自分と違うことに葛藤する年齢かもしれない。

　タケルは結婚間近であるが、十年前を思い出し、悩み始める。

　蓮香は、十年前も今もやりたいことを見出せず、不安からアルコール依存症になっている。

　そんな中、兄を捜す薫がいよいよ兄と再会しようという時、タケルと蓮香も共にする。

　納得して生きてきたはずなのに、あることをきっかけに人生に思い悩む姿を描いた作品。

　三十歳は遠い過去となってしまったが、それでも何か共感できる話であった。

/５

監督：佐藤克則
出演：小野匠、財田ありさ、新田桃子、真田佑馬、野元空、窪田翔、難波なう、ラブ守永、内藤聖羽、伴優香、長谷川公彦、諸星翔希、茜屋日海夏、山口太郎
於：シネ・リーブル池袋