20-046「カツベン！」（日本）

幸せはキャラメルの味や
　子どもの頃、活動写真小屋で観たカツベンに憧れ、自分もカツベンになることを夢みて成長した青年、染谷俊太郎。
　見よう見まねでカツベンの技術を身につけた彼だったが、訳ありな事情を抱え小さな町の映画館、靑木館に流れ着く。そこで雑用係として働き始めた俊太郎は、館主夫婦や先輩弁士をはじめ個性の強い曲者たちに囲まれ悪戦苦闘の日々を送る。
　やがて靑木館がライバルのタチバナ館の攻勢で窮地に陥る中、ついに弁士デビューのチャンスをつかむ俊太郎だったが。（「allcinema」より）


　「舞妓はレディ」以来の周防正行監督の最新作。

　大正時代、サイレント映画時代に活躍した活動弁士を描いたコメディ・ドラマ。

　少年時代に見た活動写真の弁士に憧れた染谷俊太郎。
　しかし、弁士の真似をして泥棒の片棒を担ぐような始末。

　やがて、小さな町の映画館である靑木館に辿り着くと、そこで雑用係として働き始める。
　ライバルのタチバナ館の勢力が大きくなる中、俊太郎は弁士としてデビューすることになる。

　訳ありの靑木館で働く弁士や楽士たち、そしてライバルであるタチバナ館の面々、そして少年時代から因縁ある刑事の木村など、個性豊かな、ちょっと風変わりな人々が笑いをもたらす作品。

　更に、少年時代に活動写真を通じて知り合い、今や女優となっている梅子との再会とお互いの想いが描かれる。

　タチバナ館を経営するのが、ヤクザモノの筋ということ、そして俊太郎も泥棒の片棒を担いだこともあったということで、危ない展開にもなっていくが、そこはコメディということで、ドタバタした展開で笑わせてくれる。

　俊太郎を含め、何人かの弁士が登場するが、それぞれ個性があって面白い。

　弁士というのは当時、そんなに人気があったものなのか。

　作られた活動写真に関わらず、弁士の技量によって面白さが変わってくるのだから、大きな力を持っていたのだろうな。

　俊太郎が一人前の弁士になるまでを描いた成長物語かと思っていたが、ちょっと違った展開。

　ドタバタ騒動もあって、笑える一本であったな。

/５

監督：周防正行
出演：成田凌、黒島結菜、永瀬正敏、高良健吾、音尾琢真、徳井優、田口浩正、正名僕蔵、成河
　　　森田甘路、酒井美紀、シャーロット・ケイト・フォックス、上白石萌音、城田優
　　　草刈民代、山本耕史、池松壮亮、竹中直人、渡辺えり、井上真央、小日向文世、竹ノ内豊
於：渋谷ＴＯＥＩ