木工芸・漆・道具        

 木肌の美しさに惹かれ、指物の伝統技術と道具に魅せられて・・・・・ 木工芸 市川 (宇治市炭山)

栃座卓 その4

2010-06-30 21:47:54 | 木工


このところの暑さで、工房裏のささやかな畑に3本植えたキュウリがぐんぐん成長しています。


一週間位前から2日に1本ぐらいのペースで収穫できるようになりましたが、今日は良い大きさのものが2本もとれました。
ささやかですが、毎日が楽しみです。

さて、暑さに負けず制作中の座卓、蟻桟をはめました。

溝の蟻部に鉛筆で黒く塗ります。


蟻桟を叩いて入れ、鉛筆で黒くなる様子を見ながら、蟻作理鉋で削っていきます。


最後まで入りました。


この時、すべての蟻がしっかりかみ合っていなければなりません。
 

蟻桟の加工が済んだら、部材の仕上げ削りと大入れの加工です。
貫の束、貫、脚、蟻桟の順に鉋で胴張りに削って仕上げ、大入れの加工をしていきます。
いつものパターンです。


脚と蟻桟の大入れで接ぎ。トリマーで深さを決めて粗彫りし、極浅外丸鑿で仕上げます。


天板以外の仕上げ削りが済み、仮組みしてみました。


次は天板の仕上げ削りをして、拭漆の仕事にかかります。

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ヘラ木

2010-06-29 22:09:39 | 木工
昨日、預かっていただいた欅の板を受け取りに、今野さんの工房をお訪ねしました。

私が、ヘラにする尾州桧の柾目板を探していると知り、仏像彫刻で使われた桧材をくださいました。

長さ約30cm、幅約20cm、厚さ約7cmの尾州桧の柾目です。
高価なものなのですが、遠慮無くいただいてしまいました。

早速、必要な幅に切り、鉈で割ってみました。

今まで、いろいろな尾州桧の柾目材を使ってみたのですが、なかなかきれいに割れるものがありませんでした。
ところがこの材、きれいに割れてくれました。


こんなに気持ちよく、平らに割れる材は初めてです。


剥いだ面も実にきれいです。


数年使えるだけのヘラ木ができました。
今野さん、本当にありがとうございました。大切に使わせていただきます。

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栃座卓 その3

2010-06-28 22:12:08 | 木工


部材に墨を付け、ほぞ穴をあけ、ほぞを切ります。


角鑿盤であけたほぞ穴は、墨に合わせても、中で木目に沿って錐が逃げたりしているので鑿による仕上げが必要です。


特に、二枚ほぞの場合、二枚のほぞのすべての面が同じ固さで接するよう正確に仕込む必要があります。


このゴムハンマーで同じ強さで叩いて、少しずつ奧まで入っていく、そのくらいの固さに仕込みます。


次は、蟻桟の加工。蟻溝はルーターで掘ります。


先で蟻溝の幅を2~3mm細くします。今回は栃なので3mm細く仕上げました。


蟻桟は、ルーターで、蟻溝より05~1mm広く削っておきます。


その後、蟻溝と同様、先を3mm細く削ります。


その時使うのが、蟻作理鉋。東京の左久作さんに昔作ってもらいました。
蟻桟の加工には必需品、良く切れます。


送り蟻(寄せ蟻)なので、互い違いに蟻をのみでかき取ります。


蟻桟が蟻溝に嵌りました。これから5まいの蟻がすべてしっかりかみ合うよう蟻桟を調整して寄せていきます。
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栃座卓 その2

2010-06-26 20:56:08 | 木工


天板の裏は、中仕工の長台で平面を出した後、仕上げ鉋で仕上げ削りまでしてしまいます。

座卓はいくつも制作していますが、天板の大きさは材の大きさに合わせているので、各部材の大きさも少しずつ異なっています。

天板の大きさ、厚さが決まった段階で図面を引き直します。

できあがった図面に基づき、各部材の木取り、荒削り、寸法取りをします。

部材が揃いました。
すべて栃の縮み、共木です。


天板に、虫くいの穴を発見。かなり深くまで食い込んでいます。


穴が小さく深いので刻苧で埋めることにしました。
寒梅粉を水で練り、細かな挽き粉を加えて良く練ります。ボンドも少し加えます。


穴の奧までしっかり詰めます。
乾くと縮むので、これを何回か繰り返します。


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栃座卓

2010-06-25 23:06:28 | 木工
丸鋸の切れたコードの修理

切れた場所まで切り詰めました。


短くして閉端接続子で接続。


カバーをネジ止めして修理完了。

鼻切りをして、いつもの通り、ルーターで両面を削って平面を出し、

木端を削り、


中仕工長台で表を削って平面を出します。


幅広いので、右側は左手で鉋を握って削ります。はじめのころは良く鉋を飛ばしたものです。

 
中心部がややぼけてはいますが、これだけ全面縮みの栃もめずらしいです。
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久しぶりの晴天

2010-06-24 21:36:46 | その他



久しぶりにカラりとした気持ちの良い晴天。午前中は、銀閣寺の近くのKさん宅に合鹿椀の納品に。
午後工房へもどり、裏山を眺めると、そこはすっかり夏の装い。


畑のキュウリ(写真左端)もだいぶ大きくなりました。

延び延びになっていた栃の座卓にかかろうと、天板を作業台に乗せ、まずは鼻切り。
丸鋸を取り出し、さあ切ろう!とスイッチを入れたのですが・・・うんともすんとも言わない。

故障でもしたのだろうかと、バラしてみても、別におかしいところなし。

もしや・・・コードに巻いてあったビニールテープをはがしてみると・・・

やはりここでした。
以前、コードの被覆を刃で少し切ってしまい、被覆なので大丈夫だろうと、ビニールテープだけ巻いておいたところが断線していました。
コードをつなげるのは危ないので、傷んだところまで切り詰め、閉端接続子を買ってきてカシメてつなぐことにしました。
ちょっと出鼻をくじかれてしまいました。
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銘木団地

2010-06-23 22:02:24 | 木工
いつもお世話になっている、今野さんのお誘いで、大阪銘木協同組合の見学に行ってきました。


定例市を2日後に控え、昨年来た時は様々な材が所狭しと並べられていたのですが・・・


今回はちょっと様変わり。


倉庫の中も・・・


ここにズラーッと並べられていた、銘木もなく、ガランとしています。
実は、ここの敷地・規模を半分にするので、整理がなされているそうです。
不況の影響もあるのでしょうが、家を工場で作るようになり、銘木を使って家を建てるということが少なくなってきているのでしょう。
ここに連れてきていただいた中源銘木さんも、最近は北山丸太が全く売れないと言っておられました。
大工さんが、鉋や鑿を使う機会が少なくなってきているというのもそのせいでしょうか。
木が使われなくなり、山の木が増えそうですが、実は逆で、人の手が入らなくなった山は荒れが進むようです。


ちょっと沈んだ気持ちで歩いていると、片隅でこんなものを見つけました。
恐ろしく高い下駄です。
何にするのか聞いてみましたら、移動しながら競りをするので、競り人が競り台に乗る代わりにこの下駄を履くのだそうです。

銘木団地を後にして、向日市のNさんのお宅に寄せていただきました。
古い家を壊した時の違い棚に使われていた栃の板を使ってテレビ台が作れないかという相談をお受けしました。


そのNさん宅で見せていただいた、ベンチ?
古道具屋で見つけられたそうです。


日本のものでは無いと思いますが、ラフに作られていながら、なかなか凝ってしっかりした作りになっています。
それが、かなり使い込まれ、何とも言えない素朴なよい雰囲気を醸し出しています。
良いものを見せていただき、とても勉強になりました。
Nさん、ありがとうございました。

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タモ引き手文箱 続き

2010-06-21 21:39:37 | 木工


側板の仮組みをして目違いを払い、底板と蓋を嵌める小穴を突きます。


小穴を突いた側板と底板。


底板を嵌めて身の組み立て完了、次は蓋の加工です。


蓋は、まず、引き手を嵌める穴を掘ります。
引き手は接着しないので少し固めにはめます。


蓋は引いて開ける方式にするので木端、木口の3方に小穴を突き、側板の小穴と組み合わせます。
木口には端嵌を入れます。


スムーズに開閉でき、しかもガタつかないよう、慎重に加工します。


次に、鉋で蓋の甲盛りを施します。


これで一応完成なのですが、


大切にされている写真を入れられると言うことですので、内側に厚さ2mmの桐を貼りました。


この桐15~6年前に購入した会津の桐。時間と共に落ち着いた木肌になってきました。


最後に軽くペーパーをかけ、椋の葉で磨き、蝋をひいて完成です。
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タモ引き手文箱

2010-06-19 21:37:14 | 木工

最近、漆の仕事が多かったので久しぶりの指物です。

この小箱、古い引き手を付けた箱を、という依頼で昔Tさんにお作りしたものです。
大きさが少し小さいということで、作り直しをすることになりました。

前回は桐の柾を使ったのですが、すこしおとなし過ぎるので、今回はタモの玉杢を使うことにしました。
取っ手に良く合うのです。


機械で削ると、玉杢を飛ばしてしまうので、鉋で厚みを削り出しました。


一面を削り、毛引きで厚みをとってもう一面を削ります。


平面の確認は、あて盤(削り台)の上で、板の各部を指先で軽く叩いて確認します。


側板の厚みも揃えます。


寸法取りして、どの部材をどう組み合わせるか確認します。
小さな板からぎりぎりの木取りをしているので、できるだけ違和感のないよう配置しました。


仕口の加工は、まず側板の隠し蟻から。


雄ほぞから作り、それに合わせて雌ほぞを掘ります。


この時使う胴付き鋸は、田中米吉作、1寸に40目あさり無しです。


鑿で掘った後、留め定規を使って鑿と鉋で留めを削ります。


仮組みして確認します。
この後、底板と天板の小穴を突きます。
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日本伝統工芸近畿展 大阪展

2010-06-17 22:52:10 | 木工
日本伝統工芸近畿展の大阪展が始まりました。


今年は会場が変更になり、京阪百貨店守口店の7階京阪ギャラリー


会場が狭いので、半数ずつ前期、後期に分けて展示されると言うことです。
前期が、6月17日(木)~22日(火)
後期が、6月24日(木)~29日(火)です。

ちなみに小生の作品は、後期に展示されるそうです。
最終日の午後、搬出を兼ねて行って見ようと思っています。
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