木工芸・漆・道具        

 木肌の美しさに惹かれ、指物の伝統技術と道具に魅せられて・・・・・ 木工芸 市川 (宇治市炭山)

桑小抽斗

2012-07-31 23:07:50 | 木工
桑の小抽斗の制作
このところ桑を使った制作が続いています。
(ともさんに教えていただいた「小青竜湯」のおかげで、鼻炎も治まっています。)
この桑も昔、信州の叔父が私のために集めてくれた貴重な桑です。
叔父の長女、つまり私の従妹の依頼で、叔母のための制作です。
久しぶりに工程の解説です。


機械で木取り、荒削り、雇核を入れて接ぎ合わせした板を鉋で削って平面を出し、厚みを揃えます。



直角を正確に出し、仕上がり寸法で寸法取り。



毛引き、直角定規、白柿を使って墨付け。



角鑿盤でほぞ穴をあけ、精密横切盤でほぞを切ります。
板の厚みが9mmなので、角鑿盤では深く掘れないため、鑿で底をさらえます。



天板と側板の接合は隠し蟻にしますので、鑿で刻みます。
側板にほぞを刻み、



天板にほぞ穴の墨を付け、



ほぞ穴を掘ります。



留木口台で留めを仕上げます。




仮組みして微調整。OKなようです。



裏板を嵌める小穴を突き、底板や棚板、背板を付けて仮組み。
この後、正面に出る木端をややアールを付けて仕上げ、台輪を嵌めるほぞと小穴を突き、


組立て。

接着剤、はみ出した接着剤を取る刷毛、ハタガネ、当て木など準備して組立てに掛かります。
今日は、気温が高い上に乾燥しているので手際よくしないと糊がすぐに乾いてしまいます。



引き出しの外側ができました。


追加
今日の京都の最高気温は、36.4℃。ここ炭山の最高気温は33℃。工房内は30℃そこそこ

娘の作ってくれた弁当を食べ、しばらくここで昼寝。
風が心地よく、汗もすっかり引きました。
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暑中お見舞い申し上げます。

2012-07-30 21:45:36 | 

連日の猛暑が続いていますが、皆様いかがお過ごしですか。
当方、仕事が休みなく続いています。


研ぎの終わったマグカップ、拭きに入りました。
これからだんだん艶が上がり、透明感が増してきます。



こちらはぐい呑みいろいろ。
下に敷いているのは、100円ショップで見つけたキャットカット。
はじめて使ってみましたが中々良さそうです。
暑さと湿気で、漆があっという間に乾いてしまいます。


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らいらいけんさん来たる 

2012-07-28 22:55:30 | オーディオ
木工芸でお世話になっているらいらいけんさんが京都へ来られたついでにわが家に寄って下さいました。
しかも、話題の「付録スピーカー」を携えて。

なぜ「付録」なのかと言うと、このスピーカ-、オーディオ雑誌ステレオのまさに付録の10cmフルレンジ。
それをらいらいけんさんがネッシータイプの箱を設計して取り付けられたのです。
大変音が良いと言うことで、小生の装置の視聴を兼ねてわざわざ持って来てくださったのです。



さっそく梱包をほどいて、



わが家のリビングルームに設置。
高さ180cmのスリムなデザインです。
未塗装なのでタイラップで前後を固定しています。
ご持参のアンプにつないで音出し。
初めはサンサーンスの3番「オルガン付き」 綺麗な弦の響きが流れ、オルガンの低音部に・・・
なんと、10cmのスピーカーからオルガンの低音部が聞こえてくるのです。
部屋にフワーッと広がるような、十分低域まで伸びた美しい低音がです。
これには驚きました。
その後ビバルディの四季、バッハのチェロソナタなど聞かせてもらいました。
イ・ムジチ合奏団の弦の美しさも格別、チェロは目の前で鳴っているようなリアリティ・・・箱全体が楽器になっているという感じです。

そして圧巻は、ナタリー・コールのボーカル。
まさにナタリー・コールが目の前で歌い、その歌声がライブホールに響き渡る、そんな臨場感にあふれた響きなのです。
およそこの小さなスピーカーから出ているとは考えられない音なのです。
これには参りました。

同じCDを小生のステレオで聞いてみましたが・・・・この付録スピーカーの臨場感には及びませんでした。(ショック!)
これを聞いた妻や娘は、口を揃えて、「あの邪魔な大きなステレオなくして、これにしよう!」コール・・・

 
このスピーカーの付いているステレオ誌をらいらいけんさんから譲っていただき、ついでに箱の作り方も教えていただきました。
秋の「一木一優」の作品展までに制作し、会場で鳴らしてみたいと思います。乞うご期待!

らいらいけんさん、ありがとうございました。

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盃の錆付け

2012-07-26 22:27:41 | 


桐箱(共箱)を二つ作り、木の仕事が一段落。漆の仕事に掛かりました。


地を付けた後しばらくストップしていた盃の錆付け





表。曲面に欽一の厚さで地や錆を付けるのは中々難しいです。



椀の地付け。これは最終朱で仕上げます。



コーヒーカップの研ぎ。
深さがあるので内側を研ぐのはちょっと厄介です。


仕事の合間に、フと庭を見ると

プチトマトに大きな黒いアゲハ蝶。
クロアゲハとはちょっと違うな・・・と思い写真に撮り、後で調べてみると・・・
「ナガサキアゲハ」というらしい。もともと九州以南に分布していたが、だんだん北上し、いまでは東北南部でも見られるようです。これも温暖化の表れなのでしょうか。

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桑十角箱

2012-07-21 23:59:00 | 木工
桑十角箱の制作の様子を少し・・・

仕口の角度合わせ。
十枚貼り合わせますので、わずかな角度の違いもその10倍になってしまいます。



身と台の寸法合わせ。
この後、雇核を入れる小穴を突きます。



底板の仕上げ削り。
正十角形をどう切り出すかも簡単のようで難しいですね。



部材の加工が済みました。



蓋部の仮組みです。
思い描いたものを制作するために、加工の方法を一つ一つ考えながら緊張した作業が続きます。
新たな思いつきや発見があり、充実した時間が過ぎていきます。

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惟喬親王祭

2012-07-17 23:38:15 | その他
昨日、東近江市蛭谷町の筒井御陵で開かれた、惟喬親王祭に行って来ました。


会場は、筒井峠の手前の森の中。



全国から沢山の人が集まり、参加者は300人を越えたそうです。



第一部は、神楽の奉納に始まり、祭礼、祝辞。



そして木地山まみさんの語りで、語り芝居「惟喬親王物語」が上演されました。



第二部は、会場を近くの「木地師やまの子の家」に移して行われました。



はじめに、琵琶湖博物館の藤岡康弘氏より、琵琶湖固有の魚である、ビワマスと琵琶湖を取り巻く森との関係について紹介がありました。
琵琶湖に流れ込む川を被う森があるからビワマスが生息できたという話は、自然や環境を考える上でとても興味深かったです。
実は彼は、私の妻の弟、つまり私の義理の弟なのです。


昼食を挟んで、午後は、「奧会津の木地師」という映画を見ました。
この映画は、昭和初期まで奧会津で移動性の活動をしていた木地師の家族による、当時の生活と技術を再現した記録映画です。
なんの予備知識もなく見たのですが、その内容は驚きと感動の連続でした。
まさに、山から山へ移動して椀などを作った木地師の生活がそのまま再現されていたのです。


山に入り、木地屋敷を建て、谷から水を引き仕事と生活の場を作ることから始まりました。
木を切り、柱を立て、梁や棟を木の蔓や柔らかい枝でくくり、笹で屋根や壁を葺きます。
水路は地面を掘り、丸木を縦に掘って樋にして水を引きます。

そして椀作り。

ブナの木を倒しそれを輪切りにでもするのかと思いきや、斧で直接椀の荒型を掘りだして持って帰るのです。
これは驚きでした。


それを木地屋敷へ運び、





外側を削って成形し、内側を刳って椀の荒型にするのは女性の仕事なのです。
一つ間違えれば、足の指が飛ぶ危険で重労働の作業です。


さらにさらに、その荒型を挽くのは、手引きろくろ。

もちろん、このろくろも芯だけは持ち歩くものの、台は現地での製作。鉋もそこで作ります。



実際に手引きろくろで挽いている映像を見るのははじめてです。
この技術が、千年の時を越えて脈々と受け継がれてきたのです。


続いての記念講演会では、「木と生きる、木を生かす」と題して木工芸の人間国宝の川北良造氏の講演がありました。

ご自身の経験談を交えながらのお話しは、木工の携わる私にとっても大変勉強になる内容でした。



最後に先ほどの映画「奧会津の木地師」の監督である姫田忠義氏、猛禽類の研究と保護活動を進める山崎亨氏と司会の小椋正清氏の対談を聞きました。
「木地師文化が教えるもの」というテーマでしたが、話の中で姫田先生が「志、つまり心を指すと言う言葉が好きで、今日技術の継承という点では、その技術を受け継いでいこうという志を持った人を一人育てることからはじめよう。」と言っておられたことが心に残りました。


閉会の挨拶をされた蛭谷の自治会長さんの話を聞き、またショック。
この蛭谷には家は何軒もありますが、そこに住んでいるのはわずか2世帯とのこと。自治会長さん自身も蛭谷から出ておられるとのこと。
過疎化の流れと言ってしまえばそれまでなのですが、昨今の世の中の出来事をみるに付け、国の政治がどこを向いてなされてきたのかということと深く関わっているという思いが心の底にわき出してくるのです。

木地師の里で木地師文化に触れ、自然やその中での人間の営みと歴史、そして木工やもの作りについて・・・いろいろ学び、大いに考えさせられた一日でした。


最後に惟喬親王祭からのメッセージを掲載させていただきます。








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挑交会茶道具展に行って来ました。

2012-07-16 22:24:35 | 作品展
昨日午後、京都高島屋で開かれている、挑交会茶道具展に行って来ました。
会場には、指物、漆芸、金工、陶芸の、次世代をになう茶道具の作り手の力作が展示されていました。
その中で、漆芸の岩渕祐二先生の作品を中心に拝見しました。
手前盆、風炉の敷板、水指の蓋など、自己主張するのではなくむしろ上に載せる茶碗や茶器などを引き立たせる、品のある美しさに大変心惹かれました。
先生から、作品一つ一つについていろいろ説明をしていただきました。
茶器一つ一つをそれを実際に使う時の茶碗などを思い浮かべつつ、形や仕上げの方法など、独自の発想で追求される、先生のもの作りに対する姿勢が良くわかり勉強になりました。
それは、道具としての本来のあるべき姿、それを作る我々の目指したい姿をみる思いがしました。
そうして作り出された茶道具は、いつまでも眺めていたくなるものばかりでした。

いつの間にか時間も忘れ、気が付くと閉店時間が迫っていました。
岩淵先生、ありがとうございました。

茶道具展は、明日(17日)が最終日です。


会場を出ると、四条通は歩行者天国。今日は祇園祭りの宵々山。
何年ぶりかで祇園祭りを味わうことにしました。



四条通は人、人、人・・・



月鉾の横を通り新町通へ。


















駒形提灯に照らされた山鉾や飾られた装飾品、屏風などを見て、宵々山の鉾町の雰囲気を味わいながら地下鉄の駅に向かいました。




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桑十角箱の制作

2012-07-13 23:05:23 | 木工
桑を用いた十角箱の制作に取りかかりました。
桑は私の一番好きな材の一つです。そして幼い頃から一番身近にあった木かもしれません。
養蚕の盛んな地方だったので、小学校の周りは桑畑。
口の周りや手を紫色にして食べた桑の実は大好物でした。
木工芸に出会い、氷見晃堂の作品を見て、いつか自分も桑で箱を作りたいと桑の木も集めました。
でも、その割に桑で作った作品は少ないのです。

前回の文箱に続いて、桑で十角箱を作ることにしました。



蓋の天板の裏透き。豆鉋で削ります。



甲盛りの曲線に合わせて裏を透き取ります。



蓋の側板も外側に合わせて、内側をわずかに透き取ります。
そのために、寸四の長台をごくわずかですが外丸に直しました。



底板。鉋で表、裏とも仕上げておきます。



仕口の刻みに入る前に、内側は仕上げておきます。
ペーパーで空研ぎした後、軽く渋出しをして、木賊で磨きました。
この桑の木味が何とも言えないですね。



側板も同様です。
毎日楽しみながら制作を進めています。

・・・・と言うと楽しいことばかりのようですが、そうでもないのです。
実は、私は桑アレルギーらしいのです。
症状は、くしゃみ、鼻水・・・ひどくなると喘息も・・・
作業中は厳重な防塵マスクをして、作業が終わったら服のホコリを払い、鼻うがい・・・
もちろん喘息予防の吸入薬も欠かせません。
そうしても、鼻はグズグズ・・・
それでも、それでも、桑を使って作りたいのです。
妻からは、「片思いなのだからあきらめや。」といつも言われています・・・

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挑交会茶道具展が開かれています。

2012-07-11 21:43:25 | 作品展

漆塗り教室でお世話になっている、岩淵祐二先生を初めとする7人の皆さんによる茶道具展が始まりました。




会場は京都高島屋の6階の美術画廊
会期は、7月17日(火)までです。

仕事の関係で寄せていただけるのは週末になりますが、とても楽しみにしています。
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桐箱

2012-07-10 22:15:44 | 木工
桐箱の注文をいただきました。
近畿展に出品された盛器の共箱です。

550mm×440mmの大きな箱です。
仕上げの鉋掛け。寸八鉋と比べてもその大きさがわかると思います。



最後は木賊で磨きました。



真田紐をかけて完成。
Aさんお待たせしました、明日お送りします。

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