ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

あなたへ

2012-08-22 20:16:51 | あ行

ジィィィンときました。
いろいろ考えました、ハイ。


「あなたへ」75点★★★★


****************************

富山のある刑務所で
指導技官をしている倉島(高倉健)は
最近、妻(田中裕子)を病気で亡くした。

ある日、亡くなった妻から
絵手紙が届く。

そこには「故郷・長崎の海に、散骨して欲しい」と書かれていた。

倉島は富山から車で
長崎を目指すが――?!

****************************


亡くなった妻(田中裕子)の遺言に導かれ、
富山から長崎まで車で旅をする夫(高倉健)が、
道中、様々な人と出会い、
また妻の思い出と向き合うロードムービー。


悲しい旅路ではあるけれど、
涙・涙ではなくホッと人心地つける映画です。


1時間51分という長さも、
ゆっくりとしたテンポも、
年齢高め層にやさしく心地よい。

すでに中年の域にある自分にも、
実に見やすかったですハイ。


童謡歌手という設定の
田中裕子さんの歌がうまいのにもびっくりしたし


非常に気を使った、しかしさりげない演出で、
小さな役にも贅沢な役者を配置し、深い印象を残します。

旅は道連れで出会うビートたけし氏、
お調子のいい販売員・草剛、

ワケありふうの佐藤浩市に、ほんの一瞬の浅野忠信、
そして綾瀬はるか……などなど。


81歳の健さんも、もちろんすごい域に来てるんですが
病床の奥さんに甘える様子なんて
初々しいというか、若々しいというか、とても可愛らしい。

散骨のときの小さな仕草まで、よかったなア。


原作は未読ですが
「津軽百年食堂」の原作者でもある
森沢明夫氏。

1969年生まれって、全然かわんないんですけど(笑)
こういう“土地”にこだわった感じとか、落ち着いた雰囲気とか、
意外と、好きかもしれない。


しかし、見終わって一番思ったのは
“散骨”って悲しいかも・・・ってこと。

自分、お墓なんかいらないし、散骨もありかな~とか
漠然と思ってたんですが、

やってもらう側がよくても
これ、やる側はかなり切ないなあ、と身に染みた。

もっと、ちゃんと考えよ。


★8/25(土)から全国で公開。

「あなたへ」公式サイト
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする