母はふるさとの風

今は忘れられた美しい日本の言葉の響き、リズミカルな抒情詩は味わえば結構楽しい。 
ここはささやかな、ポエムの部屋です。

駅のダリア

2012年10月29日 | 花(秋)
ホームに立つ少女の胸に抱えられたダリアは十月の駅の
赤い宝石
まあるい花は赤と白のぼんぼり
古代の呪文のくちびる
はなびらが語りだす
日本人形
電車を待ちながら見とれた夏のおわりの物語のスケッチ
冷気を好む花
高原によく似合うダリアたちよ
駅に集まって散っていく
幾つもの物語を語る小さないのち
ダリアの花

ダリアはおしゃべりな少女に変身し
ホームを吹き流す秋の涼風 
すっかりおとなしくなった陽の光は季節の移ろいを知らせる
おしゃべり少女に木綿のシャポーはいりません
夏はどこか遠くに 
さっき旅立って行きました