母はふるさとの風

今は忘れられた美しい日本の言葉の響き、リズミカルな抒情詩は味わえば結構楽しい。 
ここはささやかな、ポエムの部屋です。

月夜の物語

2014年05月15日 | 
猫は月を見る 月も猫を見る。
ほんに明るい月夜に、二人は恋をする。
夜風はしんなりと猫のひげをなで、
まことに麗しい よるのくさはら。

月と猫は、似ている同士。
似ている同士は惹かれあう。
でも愛は遠くにいてこそ
二人が抱きあうのは目と目の中で、その思いは
カスミソウの花のよう…。

ああこんなに静かで
草の露ひとしずくも落ちる気配もない夜
何万キロメートルの遠い遠い距離を
月は
猫のため息のどの音を聴いて
青い光を注ぐのでしょうか。

青い風

2014年05月04日 | Weblog
この風は

青春の日を光にはこび

白い肌の二の腕

さくらいろの張りのある頬を蘇らせ

黒髪の匂いを届けるかぐわしい青い風

木立を渡り 花たちを揺らぎに誘い

渡り来る五月のいきもの


それは青春の扉をあけ明るい真昼

わたしたちのそばに親しく寄り添いながら

夕暮れとともにしじまの中に消え

かくれんぼする風