母はふるさとの風

今は忘れられた美しい日本の言葉の響き、リズミカルな抒情詩は味わえば結構楽しい。 
ここはささやかな、ポエムの部屋です。

深まる秋へ

2021年10月21日 | 

季節は廻りあさがおの
葉っぱがちぎれる秋の暮れ
風は
足音を連れてきます

ねこの足音はただ静かで
そばだてた耳にだけ聞こえてくる
ぱたぱた ぽん

ねこがしなりと通り過ぎるところ
小さな風が立ち騒ぎ
ぱたぱた ぽん
撫でるように空気が動く
聴きたい耳に聞こえてくる
ちいさな
ねこの足音

やってくる秋小さな秋
小さな音小さな思い出が
心の小道にきこえます
振り返る
ねこの瞳が光ります

秋のあさがお

2021年10月07日 | 花(秋)
あさがおはいとしや
ちぎれた葉疲れた枝に支えられ
力を絞り十月の朝咲く

あさがおはかなしや
小さなつぼみ冷える夜耐えて
朝の陽もとめ天を仰ぐ

あさがおは空より青く
忘れられぬ灼熱を語り
名月にひそかに歌う

まだ残る大きな花びら
色褪めた小さな花の背
つどう庭 季節の宴

あさがおのいのち尊し 
まだ咲きたいとうごめく
つぼみたちに 射しくる朝の陽