母はふるさとの風

今は忘れられた美しい日本の言葉の響き、リズミカルな抒情詩は味わえば結構楽しい。 
ここはささやかな、ポエムの部屋です。

冬の猫唄

2022年02月19日 | 
☆ 今はもう使うことなき診察券
        猫の体温なつかしむ冬

☆ 遥かはるか高みで舞います黒猫よ
       思い出してね雪のふる日は

☆ 歳月はかくのごとくにながれても
        窓枠に爪痕白く残りて

☆ 南天の赤き実に来る野の鳥の
       何か慕わしうぶ毛のあたり

☆ 黒い帽子座ぶとんに置き回り来ては
       黒猫のひる寝かとおりに戸惑う

☆ ぴかぴかと光る金色黒猫の目は
         エドガ・アラン・ポーのものの語り部

☆ ドアを開け漆黒の闇に消えるわが猫は
        今宵の集会に呼び出されてく

☆ ねこはまたねこ同志の義理あると
        母は真面目な顔で説いたり

☆ 黒い色は深い緑に輝いて
        獣毛妬まし人肌のかろさ

☆ いのち輝き姿は天使か猫族の
        歩きしなやかリズム楽しや