母はふるさとの風

今は忘れられた美しい日本の言葉の響き、リズミカルな抒情詩は味わえば結構楽しい。 
ここはささやかな、ポエムの部屋です。

ひな様の顔

2018年02月22日 | 
金の屏風の前に立つ
お内裏さまはいとしずか
しろい綺麗な皮膚をして
微笑むお顔の凜々しさに
春浅い陽が少し射し

梅のお花の乱れ咲く
緋色の衣装のおひなさま
結んで流した黒髪の
豊かな三束ね揺れる陽に
しずかな午後がかたむいて

乱れ争うこの世へと
あの世に繋ぐ橋を越え
ヒト型となりいでまして
淋しき人らを慰める
ひな人形の有り難き

白いおかおに灯火して
浅い春は暮れてゆく
静かに立てるひな人形
金の屏風のその御前




寒の句

2018年02月02日 | 季節
☆ 満月の赤き光よ雪の街

☆ 雪残る芝生をスズメは忙しく

☆ 残る雪灰猫通す竹の道

☆ 春の香を浅く流せりかすみ草

☆ 母の忌に板海苔柚酢飯の色

☆ 柚子すし酢南国土佐から送り来る

☆ 海老の赤玉子の黄色春未だ来

☆ 太巻きを梅と供える晦日なり

☆ 雪の日には猫の体温懐かしく

☆ 衿に巻くミンクに何をか語らわん