母はふるさとの風

今は忘れられた美しい日本の言葉の響き、リズミカルな抒情詩は味わえば結構楽しい。 
ここはささやかな、ポエムの部屋です。

夏の朝の花

2023年08月30日 | 花(夏)


まだ熱の冷めやらぬあけぼのの
薄い光の中に咲く朝顔は
日の出とともに輝き しっかり主張し
伸び伸びと開き
真昼を過ぎると
はなびらを静かに閉じてゆく

夏の夜明け
太陽の登り切るまでの短い時間
そして訪れる晩秋の
冷ややかな大気にも負けず咲いて
細い幹が凍って枯れるときまで
青紫の美しい
色と形で咲きつづける絹のように薄い
あさがおの花

青春の真ん中にいるときは

2023年08月15日 | 青春
青春の真ん中にいるときは
何にも見ていなくて
過ぎ去る時間の重さも知らない

青春の真ん中にいるときは
流れる汗も勝手に落ちて
疲れるということを知らない

青春の真ん中は台風の眼
周りの嵐は見えなくて
遠い世界をめざすだけ

夏の空 海の匂い
湧水の山の小道はつづく
青春は何処にもいて爽やかな景色に埋もれていた

描きかけの絵をたくさん持ち
キャンバスの白さにときめいて
色を探していたミストの時代

忘れかけた青春の真ん中
夏の面影のシルエット