母はふるさとの風

今は忘れられた美しい日本の言葉の響き、リズミカルな抒情詩は味わえば結構楽しい。 
ここはささやかな、ポエムの部屋です。

柔らの春

2021年03月12日 | Weblog
ヒヤシンスほのかに匂い
蕗の薹首伸びて
もやもやと土手に草は若みどり
 
昼下がりの積み藁に陽炎ゆらゆら
太陽がやってくると大地は
大急ぎでゆっくり蠢く

とんがる茅の芽 ほの紅いスカンポ
はこべ草にまたホトケノザ
みんなむっくり目覚める原

やってくる暖かい春
新しいいのちが毎年はじけて産まれる
何も変わらず 何かが替わり 何かが変わる
今年咲く花は今年の花
忘られぬ面影つれて訪れる春

柔らの春 哀しい春 楽しい春
今年の春のあかるい陽光