奈良国際映画祭の制作した映画。監督はインディーズで映画を撮ってきてこれが劇場用長編映画デビューとなるという村瀬大智。もちろん河瀬直美がプロデュースした。奈良県大峰山の麓にある集落、川上村。そこにある寂れた老舗旅館が舞台になる。義父とそこを切り盛りする母(水川あさみ)と中学生の娘(新人の三宅朱莉)。
特別なドラマは皆無。ある日、認知症気味の義父がいなくなる。ふたりは探しに出るが、見つからない。仕方ないから縁側で居眠りしていると、義父は帰って来て、疲れたのか同じように義父も眠りに就く。なんとたわいない展開。
説明的な描写もないから、何を描きたかったのかもよくわからない。寂れた村には人気はない。廃墟となった映画館がある。
縁日の夜にはお店がたくさん出て、人もいっぱいやってくる。何故か映画館もちゃんと営業している。最初のゴジラとかを上映しているみたいだ。あれは昔の賑やかだった頃の村だ。幻の光景を義父は見ている。
ラストは少女が登校する姿を描くのだが、だからそれって何? って感じで、納得いかない。こういう幻想的な映画は好きだけど、この映画には乗れなかった。あまりに独りよがりがすぎる。中国のビー・ガンの映画くらいに独断的ならいいけど、そこまでわがままではなく、中途半端。残念だった。