狐の日記帳

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『オクシタニア』/佐藤賢一

2019年12月22日 11時58分44秒 | 小説・本に関する日記


 昨日の夜は、佐藤賢一の小説『オクシタニア』上下巻を読み返していました。

 十三世紀のフランス南部を舞台にした、ローマ・カトリック教会を否定したカタリ派に属する女性と、カタリ派制圧の為に結成されたドミニコ修道会の異端審問官の男性のお話です。

 アルビジョア十字軍・カトリック教会・フランス王家・フランス南部オクシタニア領主・異端とされたカタリ派の争いをスペクタクルに展開させています。

 人の魂の救済を目的とした宗教が凄惨な殺し合いを繰り返す……。
 極限状況に追い込まれた人がどう神と向き合うのか……。
 ラストシーンは秀逸でありましたよ。物悲しくも美しい。


 正義を前面に出し善悪で物事を判断すると人は残忍になるし容赦することがなくなる。そして優位に立つと虐殺を始める。

 自分を善人だと思っている人達こそが状況次第で最も残忍になる……。
 崇高な理想だけを追い続ける人達こそが状況次第で最も残酷になる……。
 自分を善人だと思っている人達は敵対する人達を悪人であると規定する。
 そのような人達は、自分達が悪と規定している者に対しては妥協することは出来ない。話し合いをすることもできない。他者を理解することは出来ない。それ故に自分を善人だと思っている人達は対立する人達に対して容赦しない。そして優位に立ったならば他者に対して恐ろしいほど残虐になる……。
 軍隊がない状態や指揮系統がはっきりとしない軍しかいない状態であるならば、統制が取れず、残虐行為はエスカレートする……。
 


 面白かったですよ。
 お勧めであります。



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