奥武蔵周辺のハナネコノメは見たことがないので、それを探しに名栗湖へ出かけてきた。白谷沢口は棒の峰への登山口になっていて何回か登り下りしたことがある。車を止め、足馴らしに湖畔を少し歩いてみた。
ダム湖を巡る道路には釣りをする人の車が数台停められている。
この時期、キブシやマンサク、フサザクラ等は花をつけ始めている。
これはサンシュユに似ている、アブラチャンにしては随分花つきが良い
白谷沢の登山口。水飲み場の脇には木彫りの仏像が置いてあった。以前見た記憶がないのだが、見ていると表情に味があり心が和んでくる。
すぐに急坂が始まる。冬の間鈍っていた体がたちまち悲鳴を上げる。
暫く登っていくと、山道と沢が近づいてくる。昨日の大雨の影響で思ったより水量が多いのに驚かされる。
時折沢に降りて苔むした大岩を丹念に探る。ハナネコノメもコチャルメルもまだ開花したてのようだ。と急にミソサザイのさえずりが響き渡った。スズメよりもあのメジロよりも小さい日本最小の鳥だ。岩壁にへばりついたかと思うと、倒木の下にもぐりこんでしまう。なかなかフレームに収めるのが難しい。
5,6カットでやっとフレーム枠に収めることができた。
この後も尾を立てて口を大きく開けて囀る姿を撮りたくて粘ったのだが、警戒をされ下流に飛んで行ってしまった。
薄暗い針葉樹林帯の開けた辺りで再び沢に降りてみた。
やっと咲きだしているハナネコノメに出会えた。
すぐ傍にはコチャルメルソウも咲いている
ここから先は沢の一部が山道となっている。増水した川を石伝いに登っていく。
10mを越える高さのそそり立つ柱状節理の岸壁が見えてきた。苔むした岩肌が木漏れ日に照らされて神々しいほど艶光している。
登り始めて2時間弱、やっと林道にでた。ここの休憩所から岩茸石まではあと一息なのだが今回は登山が目的ではないので暫く付近をうろついてから来た道を戻ることにした。標高700m位のこの辺りでは山にまだ緑は乏しく、斜面は枯れ葉で覆われていた。花はもちろん咲いてなく僅かに数種の野草の若芽が見られただけだった。
ヨゴレネコノメの若葉
これは猛毒のハシリドコロの若芽。
帰りは登りの半分にも満たない時間で登山口まで降りることができた。
途中出会った人は0名、先行した足跡だけが一名の静かな山行だった。