半人前のパートタイムジョブになんで同一賃金を支払わなきゃならない?

2020年06月12日 | 社労士
パート(part)にはいくつかの意味がありますが、労働関係において、「パート」といえば、パートタイムのことです。
これは、パートの1番目の意味である、全体に対しての「部分」です。
パートタイムの反対はフルタイム、パートタイムは全就労時間の一部です。
では、全体に対する部分の「全体」というのは、フルタイムである、通常の労働時間と考えていいのでしょうか?
職務給が主流の欧米ではわりかしはっきりしていますが、日本においてはそれほど単純ではないみたいです。

「全体」というと漠然としています。
フルタイムのfullを調べてみると、
1、いっぱい、満ちた
2、まるまるの、完全の、最大限の
3、腹いっぱいの、胸いっぱいの
4、十分な、豊かな、完全な
とあります。

ホールケーキなどのwholeにも、「全体」という意味があります。
1、全体の、全部の
2、完全な、無傷の、パーフェクト
3、ちょうど、満
「欠けたことのない」が語源のようです。

日本のパートタイムはどちらに対応しているのでしょうか?
法律上、一応、通常の労働時間よりも短いとなっていますが、待遇については、職務内容の他、転勤だの、責任だのが要件として出てきます。

フルタイムに対し、時間だけが短いのであれば、フルタイムの人(多くは正社員ですが)のお給料を時間分少なくしたものになるはずです。
実際には、職務内容も責任も異なることが多いようですが、転勤などの異動がないだけで、他は変わらないという場合もあります。
それでもパートタイムの人の給与は時給にするとフルタイム正社員に比べ、半分ぐらいです。

ところで、英語では満月のことをフルムーンといいますが、(新婚のハネムーンに対して熟年のフルムーンが旅行業界では使われてますが…)日本においては、満月はwholeホールではないでしょうか。
お祝い物の絵に下弦の月はご法度です。
下弦の月は新月に向かう、月が欠けていくときの月ですから。
満月に向かう上弦の月がお祝いには適しています。
日本人にとって、フルとはただ単に丸い、満ちているというだけではなく、「欠けていない」という意味があると思います。
フルタイムの正社員はただ単に、8時間や40時間働くということではなく、体も心もいっさい欠けることなく、会社に捧げるもの、たとえ正社員でなくても、フルタイムである以上、パートタイムのような欠けたやり方は許さない、ということでしょうか。
そして、日本では「欠ける」とは差別的な意味があると思われます。
単にフルに対するパートなどといった簡単ははなしではないのです。
半人前の仕事(ほんとはそうじゃなくてもね!)にまともな賃金支払うなんてばからしいですよね。仮に一人前の仕事でも、やっぱり抵抗あるよね。だって、だんなに養ってもらってて、そっちに給料込みで支払われてるんでしょ?この意識がある以上、パート=半人前となります。

このような背景に目をつむったまま、同一労働同一賃金に国を挙げて邁進しているのが日本です。


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