斎藤秀俊の眼

科学技術分野と水難救助、あるいは社会全般に関する様々な事象を一個人の眼で吟味していきます。

論文不正について

2018年01月22日 19時26分47秒 | 斎藤秀俊の着眼
また生命科学かという感じです。
どうしてそんなに生命科学分野で論文不正が多いのか?それだけ研究費が付いて、次の研究費を稼がなければならないからです。
もともと、適正な研究費を配分していれば、こういうことはかなり防ぐことができます。
科学技術分野における研究費の配分率・方法について、かなり大胆に見直すべき時期に来ています。

助教一人の責任にしていますが、それはあまりじゃないでしょうか。
私の教室の例を示します。

1)スタッフや学生が確認しあいながら研究目標を立てて、計画を作る
2)計画に基づいて実験を進める
3)1週間に一度、カンファレンスを設けて、結果の進展を全員で共有する。
4)年に数回の学会に発表する。そのために発表内容のカンファレンスを発表前に複数回行う。
5)年に10報程度の論文にまとめて公表する。その際、複数人で公表内容について読み合わせを行いながら、確認する。

すべてのステップにおいて、教室全員による確認、スタッフ数人による研究結果の確認を行っています。
特に3)は重要で、ここでグラフが出てきたときに、スタッフばかりでなく学生相互でもデータを確認します。かなりインパクトのあるデータが出されたとき、周囲の学生やスタッフは発表者の日ごろの仕事の仕方を見ていれば、その内容の真贋がすぐにわかります。
助教一人で誰のチェックもうけずにこっそり論文を投稿するなんて、あり得ません。
もし本当に助教一人ですべてをやって勝手に投稿しているとしたら、研究チーム、さらにその責任研究者の指導力にも相当な問題をはらみます。

そういう意味では、今日の記者会見はたいへんまずかった。ますます火に油を注ぐ事態になってもおかしくないでしょう。
そしてキチンとけじめをつけてください。そうでないと、剽窃チェックを代表として、まじめにやっている多くの研究者に余計な仕事がますます降り注ぎます。

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