「あそこの荷物は、あなたのですか…」
日に焼け過ぎて
夜は透明人間化するであろうその人は
放り投げてある僕の荷物を見て
そう声をかけてきた…
名古屋の大学を出るまで街中に暮らし
卒業後は就職が無く
偶々参加したセミナーの縁で
諏訪の花農家で働く事になったが
その仕事が心を満たしてくれる事無く
ほどなく退職
ちょうどその頃
助手探し中の茅葺き職人の親方がいて
「これだ!」と思い
今では順風満帆な田舎暮らしを満喫の
そのお兄さん…
毎度毎度に声をかけられるが
そのたび聞き役に回っているソレガシ
しかし己の素姓を語るより
知らない誰かの物語を聞く方が面白い…
この人もそういう人だった…
人間ひとりが生涯を過ごす世界なんて
たかだか知れた狭い世界…
名所景勝を回るより
己の知らぬ物事の語り部に会うほうが
その日一日が身になり骨になる…
あまりに面白く
些か長話に付き合わせてしまった様で
彼はその後
現場のある福井へと軽トラを走らせた…
僕はと言えば荷物はそのままに
近くの有名な岩場を見に行ってみたが
戻って来たらクリビツ仰天の極み!
荷物の上に袋いっぱいのおにぎり三昧!
茅葺き屋の彼か…
結局互いに名乗りもしていなかったが
刻んでくれたよ、思い出に…
うれし涙のバカ野郎ぉぉぉぉぉぉぉ~!
そんな僕のすぐ傍の立石には
それぞれ、京へ六十七里二十八町
江戸へ六十七里二十八町と書いてある…
ここが中仙道の丁度ド真ん中にあたる…
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日に焼け過ぎて
夜は透明人間化するであろうその人は
放り投げてある僕の荷物を見て
そう声をかけてきた…
名古屋の大学を出るまで街中に暮らし
卒業後は就職が無く
偶々参加したセミナーの縁で
諏訪の花農家で働く事になったが
その仕事が心を満たしてくれる事無く
ほどなく退職
ちょうどその頃
助手探し中の茅葺き職人の親方がいて
「これだ!」と思い
今では順風満帆な田舎暮らしを満喫の
そのお兄さん…
毎度毎度に声をかけられるが
そのたび聞き役に回っているソレガシ
しかし己の素姓を語るより
知らない誰かの物語を聞く方が面白い…
この人もそういう人だった…
人間ひとりが生涯を過ごす世界なんて
たかだか知れた狭い世界…
名所景勝を回るより
己の知らぬ物事の語り部に会うほうが
その日一日が身になり骨になる…
あまりに面白く
些か長話に付き合わせてしまった様で
彼はその後
現場のある福井へと軽トラを走らせた…
僕はと言えば荷物はそのままに
近くの有名な岩場を見に行ってみたが
戻って来たらクリビツ仰天の極み!
荷物の上に袋いっぱいのおにぎり三昧!
茅葺き屋の彼か…
結局互いに名乗りもしていなかったが
刻んでくれたよ、思い出に…
うれし涙のバカ野郎ぉぉぉぉぉぉぉ~!
そんな僕のすぐ傍の立石には
それぞれ、京へ六十七里二十八町
江戸へ六十七里二十八町と書いてある…
ここが中仙道の丁度ド真ん中にあたる…
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