棚からぼた餅--岩淵龍王丸

信州の山郷での暮らしと、絵本と無縁になってしまった大人に向けた創作絵本や、芸術活動をお話します。

朧月の夜

2009-02-10 20:33:42 | 山郷の暮し
朝一の投稿で、昨夜は満月と書いてしまいました。
今20時30分、晩酌をすまし外に出ると、谷が銀色に照らし出されています。まん丸なオッ月様が、東の峰の上にくっきりとあります。
今夜は、昨夜よりも更に暖かく、地元のニースでは雪崩の危険を報道していました。
昨夜は暖かな春の朧月のように、夜空全体が乳白色に輝いていました。けれど、月をめでるには外気は冷たく、早々に家の中に。
ただ今はまっている源氏物語に「朧月夜の姫」が登場します。
生来の『女子たらし』光源氏が、父親の愛妃・藤壺の宮に夜這いにいきますと、若い美しい姫が朧月を観ている。目的変更で口説き落として、明け方すたこらさっさ。考えてみれば、あの物腰の高貴さからいって、ただものではない。もしかして政敵のむすめではなかったか・・・。
ピンポン!!結果は一時、須磨-明石に流刑になる。そして、「明石の姫」とまたまた浮名。実に懲りない「女子好き」のひとこま。
年齢構成が良くわからないのですが、光源氏は21歳。朧月夜の姫は14―5歳では?。源氏はまだ3―4人の女子がいました。女子は20歳過ぎればババあつかいの時代。
源氏物語を読んでいるうちに、現代と大変違う年齢感覚に戸惑ってしまいます。
ただ今、光源氏の幼き頃の友であり、ライバルであった頭中将から観た物語をひねりまわしています。

4―絵師・良秀-芥川龍之介・地獄変より

2009-02-10 08:30:05 | 大人の童話
良秀-4
良秀は「汚らしく見えるものや、偽善・偽悪の心の中に、美の極致がある。たとえば、鷲や鷹を高貴な鳥として多くの絵師は描くが、小動物を襲い、屍を食らう。生きるということの本質を描きださなければ、ただのお座敷絵だ」
などと、場所もわきまえす゛憎きことをぬけぬけと申すのでございました。
俺のことを地獄絵の名人だと称してくれるが、俺は地獄を描いているのではなく、この世の人間世界を描いているだけだ。
この世が地獄なのか極楽なのかわからん。
ただ、この世のありようを見た目でなく、内側からえぐり、描き出しているのだ。
 長者であろうが下賎であろうが、死ねば腐り悪臭を放つ。やがて白骨となり、土くれとなりて、風となってしまうのだ。それが、あらゆる喜怒哀楽にもだえる、人間の宿命であ。逃れることは出来ない世界。いってみれば、人間社会の究極の美しき姿ともいえるだ。
 と。まーわけのわからない事を、お悟りを開かれた大僧侶のごとく、平然と言ってのけるのでございました。
 打ちつてられた屍の悪臭をものとせず、鼻をつけんばかりに写し取ったり、罪人の処刑には、血潮を浴びるのもいとはず描いているという、ぶりでございまし
 いやしき身分の者はおろか、罪人、乞食、はたまた打ち捨てられた死人を、高貴なかたがたの中に描き出すのでございました

ryusun

つぶやき

絵本と無縁になった大人に

子供たちに向けたというより、内なるものを呼び覚ます大人への絵本