私が大学を出て、他の会社に2年いた後、家業の木材会社に入社した頃、
日本の木材産業も木造住宅産業も無法地帯でした。
木材の品質を統制するはずの品質基準であるJAS自体が、
素人が見ても分かるぐらいおかしい基準でしたし、
当然そのような基準に基づいたJAS製品は皆無の状態。
さらにそれを使う木造住宅産業はいい加減を通り越してでたらめ状態。
私はほとほと、自分達の木材産業と木造住宅産業と言うものに嫌気がさしていました。
こんな時、当時の建設省が音頭をとってカナダのツーバイフォー建築を学ぶための30日間の研修ミッションに参加をすることになり、
バンクーバーの職業訓練学校(今は工科大学になっています)で特別コースを受講した時の驚き。
・・・何という合理的なシステム。・・・材料も販売方法も建築のシステムも、さらに役所の検査まで。
日本がこの国に追いつくのには20年はかかるだろう
と言うのがその時感じたことです。今はあれから半世紀以上が経過し、
ハード的な環境は追いつきましたが、今はこう思っています。
「日本がこの国には20年しても追いつけないだろう。」
ウォシュレットをはじめ住宅設備については日本はカナダを完全に追い越していると思いますが、
根本的な考え方と文化の違いに起因する木材や住宅のシステムについてはまだまだ大きな差があります。
嘘だと思われる方は統計数字をご覧になると、日本の木造住宅の耐久年数がカナダの半分しかなく、
価格が2倍するのがご理解頂けると思います。
・・・でも幸いなことに、強度については、日本の木造住宅の強度はカナダの1/3しかなかったものが、
(当時の建設省が実物を作って破壊試験をした結果です)
40年経過して今はようやく追いつきました。