まだNetflixを良く使いこなせないが、今日は「原語」でフランス語を選択して出てきたものから「夜の伝説マダム・クロード」(2021年、仏、シルヴィ・ヴェレイト監督)を選んでみた。時間は1時間52分。
この映画は、1960~70年代にフランスで暗躍した高級娼館経営者マダム・クロード(カロル・ロシェ、48)が2015年に92歳でこの世を去るまでの人生を描いたもの。17歳の時に妊娠して未婚の母になったが貧しかったので子どもを母に預けて単身パリに出て売春をやっていくうちに売春倶楽部の経営者にのし上がっていく。何人もの娼婦を抱えるまでに成功し、客層も政財界の大物までカバーして、ヤバい情報もいろいろ知るようになり、警察との間にギブ・アンド・テイクの関係まで築くにいたる。
その売春倶楽部にある日、金持ちで何の不自由も無い若いきれいな女シドニー(ギャランス・マリリエ、24)が売春婦として応募してきた。この売春倶楽部に入る女性たちは恵まれない境遇の女ばかりだったので驚いたが、自分に似ているところがあるので採用して目を掛けるようになっていく。やがてこのシドニーがクロードの唯一心を許せるパートナー的存在になっていくが、彼女も複雑な事情を抱えていた。クロードはこの世界で成功したものの、この世界の現実は金・暴力・汚職・裏切り・抗争などに明け暮れるすさんだもので、一歩間違えれば明日は無い命。お金には不自由しない身分になったんだけど、年をとるにつれて孤独や死の恐怖が押し寄せてくる。そんな彼女の人生を最後まで描いた。
やはりこのフランス映画もあまり救いの無い映画だ。が、人生とは何が幸せなんだろうかとか、お金より大事なものも有るのでは無いか、と言うようなことをいろいろ考えさせる映画であるように思う。自分が同じ立場だったら、多分、60歳くらいで誰かに事業を譲り、文化・芸術を楽しむ余生を過ごすのにな、と思うが、これはサラリーマン的発想か、個人事業主や芸術家や生涯現役なのか。日本は昔は早めに家督を息子に譲り、自分は隠居してゆっくり過ごすと言う文化があたっと思うが。