新国立劇場でワーグナーの「タンホイザー」(全3幕、3時間)を観た。今日の席はC席、シニア料金で8,360円。D席が売り切れだったのでC席にした。4階の中央左側の席。当日、国立劇場に行く前にチケットの発売状況を見るとC席とD席は売り切れとなっていたがS席(27,500円)とA席(22,000円)は〇印がでていたのである程度空席があったのだろう。平日昼間の公演なので客層はシニアが大部分、特に男性が多かったように思う。ワーグナーファンは男性が多いのか。今日の演奏は録画がされるとアナウンスがあった。
ワーグナーのオペラはあまり観てこなかった。それは、上演時間が長いものが多いため、ゆっくり研究して観る精神的、時間的余裕がなかったからだ。しかし、最近は時間の自由度が格段に上がったので、徐々に観るようにしていきたいと思っていたところ、新国立の今年の演目に「タンホイザー」があったので申し込んだ。
あらすじは、(第1幕)騎士タンホイザーは禁断の地ヴェーヌスベルクで愛欲の女神ヴェーヌスの虜となっていたが飽きてきたので人間世界に戻りそこで贖罪を誓う。仲間に会いヴァルトブルク城へ共に帰る。(第2幕)ヴァルトブルク城でエリーザベトとの再会を喜び歌合戦に参加する、タンホイザーは官能の愛を歌い上げたため騎士たちに殺されかかる、エリーザベトの訴えにより領主ヘルマンはローマ法王のもとへ贖罪の巡礼に出るよう命じる。(第3幕)ローマからの巡礼者の中に彼の姿はないためエリーザベトは自らの命と引き換えにタンホイザーの救済を聖母に願う。現れたタンホイザーはヴェーヌスベルクへの誘惑に今一度身を任せようとするがエリーザベトの死によってその魂は救済されるが「エリーザベトよ、わがために祈れ」と叫んで息絶える。
指揮者、出演者等は以下の通り、妻屋秀和とステファン・グールド以外は知らないが、全員よく頑張っていたと思う。東京交響楽団の演奏も良かった、タンホイザーはトランペット、ティンパニーが非常に大事だと感じた。演出については特に印象に残ったところはなく無難なものではないか。タンホイザーを観るのは2回目であるが、1回目は2、3年前のNHKプレミアムシアターで放映された2019年のバイロイト音楽祭の開幕公演のもので、演出がトビアス・クラッツァー、指揮がゲルギエフ、タンホイザーが今回と同じステファン・グールド、エリザベートはリーゼ・ダビットセンのものだ。このときの演出は新作であり非常にユニークなものでワーグナー初心者には難しかったが、このトビアス・クラッツァーのユニークな演出のタンホイザーも見直したいと思った。あと、出演者でヴォルフラム役のデイヴィッド・スタウトだが、ホワイエの掲示板に当初出演予定のダニエル・オクリッチが芸術上の理由により出演できなくなった、と書いてあったが、この芸術的な理由によりというのはどういうことだろう? 健康上の理由とかコロナ感染とかではない。指揮者と衝突でもしたのか?
- 【指 揮】アレホ・ペレス(アルゼンチン、48)
- 【演 出】ハンス=ペーター・レーマン(独、88)
- 【バレエ】東京シティ・バレエ団
- 【管弦楽】東京交響楽団
- 【領主ヘルマン】妻屋秀和
- 【タンホイザー】ステファン・グールド(米、42)
- 【ヴォルフラム】デイヴィッド・スタウト
- 【ヴァルター】鈴木 准
- 【ビーテロルフ】青山 貴
- 【ハインリヒ】今尾 滋
- 【ラインマル】後藤春馬
- 【エリーザベト】サビーナ・ツヴィラク(スロベニア、45)
- 【ヴェーヌス】エグレ・シドラウスカイテ(リトアニア、40)
さて、今回の新国立劇場の私の座席だが、下の写真にあるとおり、分厚いビニールカバーの座布団か背もたれのようなものが置いてあった。少し離れたところでは普通の薄い座布団が置いてある。そもそもこれが背中に当てるのか座布団として使用するのかどちらかわからない。しかし、今回の座席はステージはほぼ100%見えるがオーケストラピットは全く見えない。この厚い座布団の上に座ると少しだけ見える。オペラの開始時に指揮者が出てくると拍手が起こるが私が座っていた中央左側からは拍手がほとんど起こらなかった、これはオーケストラピットが全然見えないので当然とも言えるが同じC席のステージ中央右側の席からは盛大な拍手が起こった。多分、見え方が違うのであろう、それを少しでも改善するために座高を高くする分厚い座布団がおいてあるのであろうか。昨年12月にドンジョバンニで4階右側の一番後ろの席(D席)に座ったが今回の席よりよく見えたような気がした(オーケストラピットが一部見えた)。今度行ったときに聞いて見よう。