前から行ってみたかった吉祥寺の名曲喫茶「バロック」に行った。場所は駅から歩いてすぐのところ。2階にある。営業は金曜から翌週月曜の4日間しかやっていないのでなかなか日程が合わなかった。
店に入ると年配の女性店主のマダムに「どうぞ」と言われて空いてる席に。先客は少々。席が全部スピーカーに向いているかスピーカーの方を見れる位置になっている。コーヒー800円を注文して音楽を聴く。スピーカー左側にガラス張りの部屋があり、オーディオセットとLPレコード収納の棚が見え、ガラスには今かけている曲名を書いた白板とLPのジャケットがおいてあり、次にかける曲も同様になっている。全ての席から見えるようになっているのは有難いが目が悪い人は見えないかもしれない。2階なので窓から灯りが入り、室内が明るいのはうれしい。
コーヒーが到着するとおしぼりがついている、伝票が置かれるが伝票の下にはリクエスト曲が書ける欄が用意されているので、頼んでいる人もいた。座席は全部で15席くらいあるか、今日は次々と客が入ってくるがみんな基本的には長居だ、会話禁止のため、音楽をじっと聴いている人、本を読んでいる人、スマホを見ている人など様々な形でクラシック音楽を楽しんでいる。年齢も老若男女いろいろなのは面白い、若者の街吉祥寺という場所柄もあり、若い人も来るのかもしれない。しかし名曲喫茶でこれだけはやっている店はめずらしい。
スピーカーはかなり大きく、音楽は大きな音で、特に交響曲は大音響という感じで流していた。ネットで見るとスピーカーは2系統あるようで、かける曲で使い分けているようだがオーディオに詳しくないので私には分からなかった。かかっていた曲はモーツアルト、ベートーベン、シューベルトなどの定番音楽が多かったのはうれしいが、店のホームページでは店の名前の通りバロック音楽がコレクションの相当な部分を占めているようだ。バッハの宗教音楽などがそうなのか。ホームページには亡くなったマダムのご亭主の熱い思いがいろいろと書かれているので勉強になる。
マダムは非常に優しい感じの方で、リクエストにも丁寧に対応している、そして、私もかなり長い時間いたが頼んでもいないのにコーヒーのおかわりを入れてくるのでびっくりした、1時間以上いるともう一杯注文しなければいけないシステムなのかな。
帰りに支払するとき、1杯分の料金しか請求されなかったので、2杯分支払わな良くていのか聞いたら、「かまいません」との回答。おしぼりも3回は出し直してくれた。そして、帰りにマッチ箱を一つくれた。こんな素晴らしい店があるのか信じられない思いで店をあとにした。はやっているのも店全体のこういう対応のせいだと思った。いつまでも続けてほしい店だ。また来たい。中央線沿線は良い名曲喫茶が多い、クラシック音楽ファンにはたまらないところだが、いずこも後継者難に悩んでいるみたいでそれが心配だ。