南青山の根津美術館で「特別展 国宝・燕子花図屏風」を開催されているので行ってきた。チケットは事前予約制で1,500円、日付確定で変更不可、あいにく今日は雨だが行くしかないと思い、行ってきた。皆さん同じ考えであろうか、雨にも負けず結構な人がきていた。平日のためか、展示作品の内容ゆえか、美術館自体が素晴らしいせいか、女性客、特に若い女性客が多かった。また、外国人も多かった。
この写真は美術館のエントランス
根津美術館は毎年、カキツバタが咲くこの時期に尾形光琳の燕子花図屏風を特別展示している、何年か前にも同じ時期にこの燕子花屏風図を見に来た。その時は尾形光琳・乾山兄弟をモデルにした小説「光琳ひと紋様」(高任和夫)を読んだので、その本の表紙にもなっている燕子花図屏風が観れるというので来たのだった。
今回の特別展示室に入って順路に従って観ていくと、やはりこの「燕子花図屏風」が圧巻だ。一番大きな展示スペースに展示されており、室も広く、ゆっくり鑑賞できる。同じ展示室に光琳の白楽天図屏風、夏草図屏風もあり贅沢な空間なっている。展示室の中央には長椅子もあり座ってゆっくり見ることもできるのは有難い配慮だ。
尾形光琳は江戸中期を代表する画家の1人で、この時期の有名な画家の生存期間を示せば以下の通りとなるが、いかに偉大な画家たちが続出した時代かわかる。
雪舟 (1420-1506)
長谷川等伯(1539-1610)
狩野永徳 (1543-1590)
俵屋宗達 (1570-1643)
狩野探幽 (1602-1674)
尾形光琳 (1658-1716)
伊藤若冲 (1716-1800)
円山応挙 (1733-1795)
今回の展示を観ての感想を若干述べる
- 絵の説明の小さなパネルが以前と比べ格段に大きくなっているし明るい照明になっている、よって近視の人でも読みやすい、さらに燕子花図屏風のように大きな絵には絵の両サイドに同じ内容のパネルが設置してある、先日の国立近代美術館でも同様だったが、このような工夫は有難い
- 一方、写真撮影禁止は残念だ
- 燕子花図屏風以外で特に注意をひいたのは同じ展示室の①白楽天図屏風(光琳作)と次の展示室にある②伊勢神宮道中図屏風(作者不詳)だ。
- ①は唐の詩人白楽天が航海と和歌を守護する住吉明神とその化身である漁師に和歌の偉大さを思い知らされ、神風によって乗ってた船が弓なりに反り、中国に追い返されてしまう図を描いたもの、当時の中国人が日本の和歌を賞賛するというのが興味をひかれる
- ②はこの時代の京都から伊勢神宮までのお伊勢参りの道中を一つの屏風に描いた作品だ。非常に精巧に書かれており、各地の名所風俗を描き出し光琳の生きていた時代の雰囲気が伝わってくる。洛中洛外図屏風と構図がよく似ているが同じ時代のものみたいだ。
さて、根津美術館には庭園があり、その庭園の中心部には何とカキツバタがいっぱい植えてあり、ちょうどこの特別展を開催する時期に満開になる、というか満開になる時期に特別展を開催している。事前にホームページで確認すると今週は満開のようで、雨が降っていたが庭園を散策してカキツバタが咲いているのを楽しんだ。水中に咲く花なので晴天の時に見るよりむしろ雨の日に観るのがふさわしいのかもしれない、緑の葉と群青色の花のコントラストが大変きれいだ。一度は観る価値がある。光琳の絵を観た後だけに余計に感動する。
今回は午後1時から鑑賞することにした、国立近代美術館では午前中に鑑賞してエネルギー不足状態になったからだ、この点は成功だった。美術館に1時間半くらいいて帰路についた。
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