池袋のシネ・リーブルで英国ナショナル・シアターの演劇を映画化した「かもめ」を観た。土曜日ということもあって結構客が入っていた、比較的若い人が多かった、文学部の学生かと思われる若い女性たちも目立った。特別料金で3,000円。
作:アントン・チェーホフ
脚本:アーニャ・リース
演出:ジェイミー・ロイド
出演:エミリア・クラーク(36、英)、トム・リース・ハリーズ、ダニエル・モンクス、ソフィー・ウー、インディラ・ヴァルマ(49、英)
「かもめ」はロシアの作家チェーホフの同名の戯曲、イギリスのどこかの劇場(ナショナル・シアターだと思うが)で演じられた舞台劇。原作の「かもめ」は一度読んだことがあったが「桜の園」ほどの印象はなく、あらすじなどもうろ覚えだった。時間は3時間弱と長い。実際の舞台は4幕だが、映画では1幕から3幕までが同じ舞台設定だったので一気に放映して、その後休憩があり、舞台転換の後の第4幕を後半に放映した。
舞台は別荘の一室を想定しているが、何の飾りもない壁に取り囲まれた殺風景な舞台。そこに登場人物が椅子に座り、最初から全員勢揃いして会話をする。これも一つの演出方法だろうが、退屈さは免れない、出演者が台本を持って朗読しているのを聴いているのと大差ない気もした。
ストーリーはとりとめもないもので、劇作家の主人公の青年が別荘の近くに住んだいる若い女優志望の娘に惚れて、振られる、若者は娘に銃で撃たれたかもめを渡し「今に僕はこんなふうに自分を撃ち殺すのさ」と意味深なことを言う、母親は若い人気作家を愛人としているがその作家が息子が惚れてる若い娘と愛し合うようになり結婚する、若者は自殺を試みる、何年かたって若者は売れっ子作家になったところにむかし惚れた若い娘が夫も子供も失って戻って来て「私はかもめ」と言うが・・・・
映画を観た後で、ネットでいろんな説明を読むと、この劇はシェークスピアの「ハムレット」を意識して書かれたものだとか、太宰の「斜陽」にも「かもめ」を意識して書かれている部分があるなどの指摘があった。なるほどそういう部分もあるかもしれない。
この映画で報じられている演劇では、俳優たちはマイクを使っていた、劇場が広い場合、これで良いのではないか、日本の場合、広い劇場でもマイクを使わず、俳優たちが大きな声で怒鳴っているような発声で演技をしているケースも多いように思える、マイクを使い普段の会話のように話した方が良いと思うのだがどうであろうか。
さて、3時間にもなる映画を観るときは事前に綿密な予習が欠かせないなと思ったが、それにしても自分にはあまり迫ってこなかったな、というのが感想である。
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