映画「TAR/ター」(2022年、米、トッド・フィールド監督)を観た。1,200円。新聞の映画レビューに載っていたのを読んで、クラシック音楽ファンとして観ようと思った。最近、テレビで門脇麦と田中圭主演の「リバーサルオーケストラ」という番組をやっていた。地域オーケストラを舞台にした物語で面白かった。クラシック音楽ファンとしてはクラシック音楽を取り上げたドラマなり映画ができるのはうれしい。
出演は
- リディア・ター:ケイト・ブランシェット
- フランチェスカ・レンティーニ:ノエミ・メルラン(ターの副指揮者を目指すターのアシスタント)
- シャロン・グッドナウ:ニーナ・ホス(コンサートマスター、バイオリン奏者、ターの愛人)
- オルガ・メトキーナ:ゾフィー・カウアー(新人チェリスト)
- セバスティアン・ブリックス:アラン・コーデュナー
物語は、ベルリンフィルの初女性首席指揮者になったター、順風満帆、独裁者のように振る舞う、いろんな賞を受賞し、本の出版もまもなく、いまだ達成できていないマーラーの交響曲全曲録音も5番を残すのみで達成寸前、だが、自身の作曲活動などでもがいている、そんなとき、若手指揮者の指導で激しくあたり、その指揮者が自殺してしまう。指導の模様がネットで拡散されて親から訴えられる。少しずつ歯車が狂い始める。公演の選曲、ソロ・チェリストの選定、副指揮者の解任などでオーケストラメンバーや愛人との間もすきま風が吹き始める・・・・
主演のケイト・ブランシェットはよく役柄を体現して演じていた。これだけのポジションになれば、こんなこともあるだろうと思われる真に迫った演技をしていたと思う。いくつか気づかされた点を述べれば、
- Bunkamuraでの公演がある、など日本のことが若干出てきた(もう一つあったが忘れた)
- オーケストラメンバーによる指揮者の採点、評価があること(知らなかったが良いことだ)
- マーラーの5番、第4楽章のアダージェットが映画の中で演奏される場面が一番多かった、映画「ベニスに死す」やケン・ラッセルの映画「マーラー」を思い出した。
- 外から見ると結構うらやましい生活をしていると思われている人でも結構孤独で、精神の安定があるとは限らないことがよく出ていた。
多少、誇張もあろうが、映画の制作にはベルリンフィル他いろんな楽団などの協力があり、また、「指揮者は何を考えているか」の著者で知られる米国の指揮者、ジョン・マウチェリの監修と全面協力もあったので、結構本物らしい演技になっていたと思う。このような映画やテレビは大歓迎である。
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