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映画「眠りの地」を観た

2024年06月30日 | 映画

アマゾンプライムで映画「眠りの地」を観た。2023年、127分、アメリカ、原題:The Burial(埋葬)、監督マギー・ベッツ、プライムビデオでの独占配信のようだ

冒頭で、実話に基づく映画であることが示される。南部アメリカのミシシッピ州で葬儀社を営むオキーフ(トミー・リー・ジョーンズ)は、代々続く家業が資金トラブルで行き詰まっていた、その苦境を脱するため顧問弁護士に相談すると、事業の一部を業界最大手のローウェン・グループに売却すればよいとアドバイスを受けた。

そしてローウェン・グループのトップと直談判して合意し、あとは弁護士に契約書を作成させるとしていたが、ローウェンはいつまでたっても連絡してこなかった、契約書作成を引き延ばすほどオキーフが困るのを知っていたためだ。このため、オキーフは訴訟を起こすことを決意。カリスマ弁護士ウィリー・E・ゲイリー(ジェイミー・フォックス)を雇う。正反対の性格の2人だったが、一緒に戦っていくうちに絆が芽生える。

映画の題名は、騙されて搾取されてきた多くの黒人が墓石もない荒野に埋葬され、やがてそこは開発され、いろんなものが建ってくる、その黒人差別の象徴ともいえる黒人が眠っている埋葬場所、眠りの地、を採用したのだろう

映画を観た感想を書いてみよう

  • 全体的によく考えられた良い映画だった、見ていて退屈しなかった
  • 主人公のオキーフを演じたトミー・リー・ジョーンズ(1946)は好きな俳優だ、もう年なので若い時のような刑事ものなどはできないので、この映画のような中小企業のオーナーのような役をやっているのだろうが、似合っていた。
  • オキーフの弁護を引き受けた弁護士ウィリーをやったジェイミー・フォックスは初めて見る俳優だが、よかった。アグレッシブな黒人弁護士役をうまく演じていた。ウィリーは人身事故補償専門の弁護士で、上昇志向が強く、スタンドプレーがうまく、今までの訴訟で負けなしだが、実は勝てる訴訟しか手がけない。そして、オキーフの依頼について、契約法は専門外である、白人を弁護したことがない、今回の訴額がショボいなどの理由で断るが、オキーフの新人弁護士のうまい説得で結局弁護を引き受けることにした、ウィリーを説得した着眼点が良かった
  • 訴訟では何が論点なのかよくわからなかった、口頭で契約に同意していたが、契約書の作成を遅らせた、それによりオキーフ側に大きな損害が出た、それが1億ドルだ。口頭でも契約は成立するので、それほど大きな論点にならないだろうと思うが、裁判で議論されていたのは、契約書に両当事者がサインをしていないと拘束力はないとか、ローウェンがいかに黒人を騙して金儲けをしてきた人間であるかとか、その騙して儲けた金でいかに豪勢な身分になっているかなど、被告の貪欲と黒人搾取だ
  • そして訴訟の最後にウィリーが被告に対して、こんな差別や貪欲なことをして「良心が痛んだことはないか」と質問すると、「無い」と答える被告、黒人陪審員が多かったのでこれ決定的になったような描き方になっていた
  • この映画のポイントは、法律上の論点などではなく、訴訟に連戦連勝で傲慢であったウィリーが、スケベ根性で専門外で勝てる見込みもあまりない訴訟を引き受け、苦闘し、被告弁護人から攻められて依頼人のオキーフに恥をかかせ、主任弁護士を降ろされ、人生で初めて挫折を味わうが、それにめげずに妻に自分の弱いところもさらけ出しアドバイスをもらい、気を取り直して初めて他人(オキーフ)に失敗を謝罪し、その後、徐々に盛り返していき、オキーフの信頼も取り戻し、最後は勝訴するまでのその人間模様であろう、その点では見ごたえがあったと思う。

映画の最後には、その後、控訴を経て両者は1.75億ドル賠償で和解し、ローウェン・グループはその後倒産、オキーフ葬儀社は継続して成長し、夫妻は慈善団体を設立して賠償金を黒人の教会や学校に寄付、ウィリーは大企業相手の訴訟弁護士になり勝ちまくった、オキーフとウィリーの友情は続いたと出ていた。

楽しめる映画だった

 

 



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