東大寺二月堂のお水取りに行って来た。火の粉が降ってくる舞台の下とは程遠い場所だったが火と闇の神秘的な霊的な演出に魅せられた。
帰りに30年前に寄ったおでん屋を訪ねてアーケードの商店街を歩いて行った。この辺りと、路地に目をやると、懐かしい酒処「蔵」が昔と変わらぬ佇まいであるではないか。相変わらず混んでいたがうまい具合に座れた。店員に「昔と変わらないね」と言ったら「そうですか」と帰ってきた。それもそのはず、彼は30年前にはまだ生まれていなかっただろう。時の流れを感じた。途中から隣に席に座った男性と、僕が飲んでいる日本酒の味から言葉を交わすようになった。茨城県からこの行事を見に来られた人だった。余計なことだったかもしれないが、明日の予定に秋篠寺の伎芸天と飛鳥の高松塚古墳を勧めて帰路についた。とても遠くへ旅してきたような気分で電車に揺られていた。