静岡県三島市にお住まいの久保田松幸氏とお互いにショートの詩句のやり合いをやってみましょうということで始めたのが私達の詩・セッションです。ジャズのセッションのようにはいかないが、お互いの感性をぶつけあってそこに言葉の「変な」「おかしな」エネルギーを感じ取れないだろうかという期待があります。まだまだ手探りですが、ボチボチと続けています。
★ 詩・セッション(POEM・session)#❶
青と玄
それに 朱と白
高田 数豊
久保田松幸
青
地面に落とせれたクリープが溶けていく憂鬱な
波形を歩道橋の上から眺めている 交差点に幾重
にも張られた有機質の網は四方八方からたぐりよ
せられると この中に生け捕られたぼくの 或は
ぼくを取り巻く日常のひとコマひとコマは 早朝
の網のなかで跳ねる 捕らえられた往生際の悪い
活きのいい小鰯に似てはいないか (高)
朱
妻がたぐり寄せた花枝が放つ光
もう 遠くなった若さとはいえ
ピアノを弾く指先には 木漏れ
日が踊る静かな時間が残ってい
る どこからかかすかな流れの
音がする 星の出合う季の水音 (久)
玄
森の子供たちを一人づつ折り紙で包み 子羊た
ちを染める薄紫のサンセットよ 翠嶺より鳴り渡
るアンカリヨンよ 静かに水面を切るアメンボウ
よ 軌跡に落ちた一葉は自然の真実の栞であろう
か 室生はもみじの彩りのなかでもなく雪の中に
でもなく ぼくの小さなウッドパークの可憐な塔
の水煙からオーロラがはじまる 室生 (高)
白
アキアカネが下り始める 高原
をよぎる白雲 妻が語る思い出
のように もう歩き訪ねる力は
ないが その里の南北に走る塩
の道は秋祭りの準備に忙しく
花飾りの どこか力ない嘘 (久)
青
換気扇の羽根と羽根の間の空しかほんとうは見
たことがないかもしれない 後はみんな嘘 ぼく
は自分の書くことを信じないからグロテスクな嘘
を書く 嘘とぼくの存在との椅子取りゲームは日
常茶飯事だ 季節はアスベストの壁でしかなく鳥
の囀りは壊れかけたカッターの摩擦音だ 飢える
ために砂漠に向っている (高)
年月
夜 月が追ってきてくれる
そんな素敵な夜をいっぱい持
っている人は 過ぎ去る物は
消えるが 今と明日の確かさ
は知っている 花はいつも
これから咲くことも・・・・ (久)
★ 詩・セッション(POEM・session)#❶
青と玄
それに 朱と白
高田 数豊
久保田松幸
青
地面に落とせれたクリープが溶けていく憂鬱な
波形を歩道橋の上から眺めている 交差点に幾重
にも張られた有機質の網は四方八方からたぐりよ
せられると この中に生け捕られたぼくの 或は
ぼくを取り巻く日常のひとコマひとコマは 早朝
の網のなかで跳ねる 捕らえられた往生際の悪い
活きのいい小鰯に似てはいないか (高)
朱
妻がたぐり寄せた花枝が放つ光
もう 遠くなった若さとはいえ
ピアノを弾く指先には 木漏れ
日が踊る静かな時間が残ってい
る どこからかかすかな流れの
音がする 星の出合う季の水音 (久)
玄
森の子供たちを一人づつ折り紙で包み 子羊た
ちを染める薄紫のサンセットよ 翠嶺より鳴り渡
るアンカリヨンよ 静かに水面を切るアメンボウ
よ 軌跡に落ちた一葉は自然の真実の栞であろう
か 室生はもみじの彩りのなかでもなく雪の中に
でもなく ぼくの小さなウッドパークの可憐な塔
の水煙からオーロラがはじまる 室生 (高)
白
アキアカネが下り始める 高原
をよぎる白雲 妻が語る思い出
のように もう歩き訪ねる力は
ないが その里の南北に走る塩
の道は秋祭りの準備に忙しく
花飾りの どこか力ない嘘 (久)
青
換気扇の羽根と羽根の間の空しかほんとうは見
たことがないかもしれない 後はみんな嘘 ぼく
は自分の書くことを信じないからグロテスクな嘘
を書く 嘘とぼくの存在との椅子取りゲームは日
常茶飯事だ 季節はアスベストの壁でしかなく鳥
の囀りは壊れかけたカッターの摩擦音だ 飢える
ために砂漠に向っている (高)
年月
夜 月が追ってきてくれる
そんな素敵な夜をいっぱい持
っている人は 過ぎ去る物は
消えるが 今と明日の確かさ
は知っている 花はいつも
これから咲くことも・・・・ (久)