No Room For Squares !

レンズ越しに見えるもの または 見えざるもの

松崎の日が暮れる(終)

2018-10-20 | 街:静岡
















秋田の自宅を出たのは、朝の6時前。昼食は東名高速の足柄SAで食べた。圏央道が開通したことで、首都高をパスして東名高速に出ることができる。かなり時間の短縮になる。首都高を経由して足柄あたりで昼食を取るのであれば、朝の5時前に出なければ無理だろう。圏央道というと、どうしても「拳王道」と頭のなかで変換してしまい、恐ろしいイメージを持っていた。拳王(ラオウ)が出てきて、「ここは拳王の名を持つ道、うぬ如きが走る道ではないわ!」とか言われそうで・・・。でも拳王様のお陰で大分時間は短縮できた。

さて、それでも途中で多少の用を済ませ、松崎に入る頃にはもう夕刻近く。30分も歩かぬうちに日が暮れてきた。嗚呼、西伊豆の町の夕暮れ。それは僕の産まれ育った町でなくとも、なんとなく同じ雰囲気を感じる。翌日が法事とお土産購入だけ。空き時間はなく深夜(翌朝)まで掛けて帰路に着く。多少おまけの写真を掲載するかもしれないが、短い短い伊豆滞在だった。



X-PRO2
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なまこ壁の通りで感じた哀しみ

2018-10-19 | 街:静岡












およそ数十年前、僕が子供だった頃、松崎の町を歩いたり、写真を撮ったりする人はほぼ皆無だったと思う。あろうことか、今では松崎のことを「伊豆の小京都」と言ったりするとかしないとか。大体の観光客は、こういう「なまこ」らしいところを求めて歩くのだが、普通の街並みと共存して、浮ついたところがない点は良いと思う。時間的には日が暮れ始める頃で、その寂しい感じは数十年前と変わらない。嗚呼、松崎の町で写真を撮ることは、もう二度とないのかもしれない。そう思うと、余計に寂しくなった。


X-PRO2 / XF23mm F1.4R
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床屋を巡る思い出

2018-10-18 | 街:静岡
子供の頃、僕は床屋さんに行くことが怖かった。出来ることなら、床屋になんか行かずに生きていきたい。常にそう思っていた。親から床屋に行けと言われても、胡麻化して逃げ回っていた。だから子供の頃、僕の髪はいつも長かった。何故床屋が怖いかといえば、あの髭剃りの剃刀だ。こちらは椅子に座らされ、前掛けで身動きできない。そこに薬品の匂いを連想させる泡を頬に塗りたくられる。床屋のオヤジは必ず、一度剃刀を立てて蛍光灯の方に向ける。まるで切れ味を確認するかのようだった。蛍光灯の光に剃刀は鈍く光っていた。
その剃刀が頬や首筋に当てられた時、「このオヤジの気持ちがちょっとでも変わって、その気にさえなれば僕は首を切られて死んでしまう」そう思うと「金〇(失礼!)」が縮みあがるほど怖かった。白い髭剃りの泡が深紅に染まり、僕の首筋から血が噴き出す。恐ろしい光景を想像し怯えていた。


そんな僕の床屋嫌いは中学生になると嘘のように治った。大人になったからではない。単に床屋を変えたからだ。中学になってから行くようになった床屋のオジサンとは何故か馬が合い、僕はむしろ床屋に行くことが好きになったほどだった。もしかすると、最初の床屋のオヤジは何らかの理由で、僕のことを嫌っていたのかもしれない。あるいは怯えている姿を内心楽しんでいたのかもしれない。今ではそう思っている。最初の床屋さんは、僕のことを無口な少年だと言ったらしいが、次の床屋さんは「ひょうきんな少年」と言った。今ではそれは遥か昔の話で、当時のオヤジさん達が生きているのかどうかも分らない。でも僕の思い出の中には生きている。


なお、写真と本文は関係ありません。伊豆に行って、古い床屋さんを見つけたら、当時のことを鮮明に思い出したので・・・。




LEICA M MONOCHROME(CCD) / SUMMICRON M35mm ASPH
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橋の欄干に描かれた鏝絵の桜

2018-10-18 | 街:静岡




これは橋の欄干なのだが、町にこういうものがあるなんて羨ましいなと思う。静岡県松崎町。ここ数日、他にも写真を掲載しているので、是非見て下さい。


『8のつく日はwebにお花を』

X-PRO2 / XF23mm F1.4R
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変らぬ町並みが町を変えた~松崎の町並み

2018-10-17 | 街:静岡












西伊豆の町々に行くと、確かに以前と比べて観光振興がされているんだなと痛感する。この松崎という町は、もともと西伊豆のなかでは大きな町だった。それは観光面ではなく、生活の町としての活動規模が大きかったのである。伊豆は観光資源によって町の格付けが決まる場所なのに、松崎は観光面では特徴のない凡庸な町だった。

ところが、その凡庸さが功を奏した。伊豆の他の町と比べ、外部資本の流入が遅れ、独特の町並みは維持された。江戸末期から明治にかけて活躍した左官職人の入江長八が再評価され、彼が手掛けた「こて絵」や「なまこ壁」が観光資源となった。子供の頃に松崎でなまこ壁を見たときは、古臭い町だなと思った。今ではわざわざ観光客が押し掛ける。だが松崎の魅力は、前述した伊豆の港町の標準的(かつ凡庸)な町並みがそのまま残っていることだと思う。海風厳しい地域なのに、僕が子供の頃からあったであろう建物が数多く残っていることが嬉しい。


X-PRO2 / XF23mm F1.4R

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なまこ壁の町(予告)

2018-10-16 | 街:静岡
なんだかかんだ言って片道700キロ以上。僕の秋田の自宅と実家の静岡西伊豆の距離である。法事があって、一泊二日の超強行軍で往復してきた。車を運転してである。殆ど余暇にあてる時間はなく、松崎で少々写真を撮っただけでの行程だった。三島、下田、熱海、更には山梨側の富士吉田など行きたい場所は目の前で、断腸の思いだった。まずは予告編で、松崎町のなまこ壁通りである。



LEICA M MONOCHROME(CCD) / SUMMICRON M35mm ASPH
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思い出の木との再会

2011-05-13 | 街:静岡
神社に立つ立派な大木。
実はこれ、小学生(しかも前半)の頃住んでいた家、その近くにある神社のご神木だ。
数十年振りの再会となった。
小学生の頃、大きいと思っていたものも、大人になって見ると意外と小さかったりする。
でも、この大木は想像を遥かに超えて大木だった。数十年の間に、更に成長したのかもしれない。
この木によじ登ろうとしていた当時の自分。昨日のことのようであり、はるか昔のことのようでもある。
僕はこの木に恥じないような人間になれたのか。。。
大木の下で、自分を振り返ってみたが、答えは分からない。

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入江の先には

2011-05-12 | 街:静岡
静岡県西伊豆の入江。
日本海を見慣れた眼で見ると、リゾート地のような雰囲気に見える。
この海の先には、昨今話題になっている、中部電力「浜岡原発」がある。
(ちなみに伊豆地方は東京電力管内で、富士川を境に50ヘルツと60ヘルツに分かれる)

この海が、いつまでも奇麗で穏やかであって欲しい、そう思う。


EOS5D MarkⅡ / EF24-105 F4L

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松崎~なまこ壁の町

2011-05-07 | 街:静岡







静岡県松崎町。なまこ壁の町として近年は有名になった。
なまこ壁とは、「壁面に平瓦を並べて貼り、瓦の目地(継ぎ目)に漆喰をかまぼこ型に盛り付けて塗る工法。
その目地がナマコに似ていることから呼ばれた。」(Wikipedia)というもので、防火防水の効果があるそうだ。
歩いてみると、確かに風情がある。以前はもっと多くのなまこ壁があったと思われるが、維持は大変そうだ。

ここで、ひとつ。子供の頃、松崎にはよく行った。知り合いもいた。
その当時、なまこ壁は古くさいものと捉えられ、コンクリートに移行していった時代だった。
でも結果的に、なまこ壁が残ったことで、松崎は客を呼べる町になった。(温泉もありますが・・・)

現在、僕が移り住んできた秋田県では、歴史ある古い建物をどんどん壊し、没個性的な新しい建物が造られている。
久しぶりに松崎に行って、複雑な気分を味わっている。


EOS5D MarkⅡ / EF24-105 F4L



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トンネルの向こう側

2011-05-04 | 街:静岡
実家の伊豆に行ってきた。そして久しぶりに、旧天城トンネルに。
トンネル内は静かで、ひんやりとした空気が流れている。照明も薄暗い。
最近のトンネルは事務的な趣だが、こういうトンネルはいい。
ここを抜け出た先に何が待つのか。期待と不安が入り交じった気持ちになれる。

※川端康成『伊豆の踊り子』で有名なトンネル。

EOS5D MarkⅡ / EF24-105 F4L
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